偽名祐司

コリーニ事件の偽名祐司のレビュー・感想・評価

コリーニ事件(2019年製作の映画)
3.4
原作が発売後数か月でドイツ法務省を動かした程に衝撃を与えたミステリー小説の映画化。
そのはずなんですが映画的には普通な為にもう一つ残念です。

話はアプリ参照で
3か月目の新米弁護士のカスパーは模範的市民を長年貫いたイタリア人コリーニが起こした殺人事件の国選弁護人になった。
何も知らずに弁護を張り切るカスパーだが、被害者は彼の少年時代の恩人ハンス・マイヤーであった。
黙秘を続けるコリーニに加え遺族の孫は昔の彼女、弁護士には大学時代の刑法教授がつく事に。
圧倒的に不利な裁判を続ける内に見えてくるコリーニの過去、カスパーの過去、そしてドイツ刑法の大きな闇。
コリーニ事件が明らかにした闇とはいったい何なのか。

ドイツの裁判モノって事でおおむね予想通りではあるのですが過去の話がポイントでして。
カスパーさんの仲間の集め方とか色々となんとなく集まった感じが強いです。

それなりに過去の話は衝撃的ですし、それに対する反応も現代ならでは、ではあるのですが。
裁判モノの話としては展開が今一つ緩急がなくてですね。
過去をさかのぼり色々と調べ、コリーニさんが沈黙を破り、衝撃的な事実が判明する、というだけで裁判系にあるシーソーゲーム的なやりとりや、ミステリー系にあるカスパーが知る情報が方々から断片的に集まり、観客に引きをもって判明させる、みたいな展開が全くもってないのです。

演出というか脚本が下手というか、とにかく話としての緩急や引きつけがありません。
最終的な結末も少し予想からは外れるもののその事実が伝える現実が今一つ伝わりにくいです。
ですので、決してつまらない話ではないのですが何か「惜しい」感じがある作品で個人的には終わってしまいました。

とはいえ、中身は中々に議論ができる内容ですし、鑑賞後色々話したくなる作品なので興味がある人には素直にお勧めします。
ネタばれ感想はコメントで。
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