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人生、ここにあり!のQvQのレビュー・感想・評価

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
3.8
実話を基にしているということだから、この話はこうだったらいいのにな、っていう理想の話ではないってこと。

精神疾患の患者に薬が多用されるのことは前に聞いたことがあるし、「ニーゼと光のアトリエ」(こちらはもっと古い話だけど)では患者に電気ショックみたいなものを使って暴れないようにしてた。精神を病んでいる人は、もしかしたら時々思いもよらないタイミングで、自分ではどうしようもない衝動を表に出してしまうことがあるのかもしれない。それに関わる人が、何とかそういう突発的なことを抑えようと、対処療法的に薬でコントロールを図ろうとすることも、実際には有効だと信じられ今もなお行われているのかもしれない。

「イヤ、それは間違ってるでしょ!」と声高に言えるほど、私も正しい知識や深い教養があるわけではないし、実際のところ精神医療の現場はおそらく日々戦場のようだったりもするのだろう。

ただ、やっぱりこういう映画を観ると、人ってみんな等しく生きる価値があって、認められたい、役に立ちたい、生きてる意味を見出したいと思ってると感じる。私だってそういうことを感じることがあるから何とか毎日生きられてるし。

精神医療にそういう視点を取り入れることで薬以上に治療成果を得られるんだと実践したのがこの取り組みだったと思うし、社会と交わる取り組みだから、こういう映画を日頃からたくさんの人が観て理解を深めたり意義を感じておくべきなんじゃないかなと思いました。

偏見もホント怖いしね。コロナもそうだけど、病気自体より正しく知らないってことが生む偏見の方が怖かったりするもん。

敢えて言えば、正直一般に健常といわれてる者が精神疾患の患者や一般障がい者、LGBTの人と接した時、自分にとって未知であるだけで「なんか怖い(気持ち悪い)」と感じてしまうことはあって仕方ないのかなと思ったりもする。ただ、そういうことはもし感じてしまうなら改めていかなければいけないと強く思うし、こういう映画はその助けになると思う。

そういう意味でスコアも少し高めにつけました。社会派な内容だけど小難しくもなく、単純に見応えもあったけどね。映画だけの評価だったら3.6~7くらいだったかも。

高校の倫理社会の時間とか、大学の一般教養とかの講義の代わりにこの手の映画を鑑賞するってどうでしょうか。板書だらけの授業よりその方がよっぽど心に響いて意義深いんじゃないかな。
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