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ニッケルオデオンのHKのレビュー・感想・評価

ニッケルオデオン(1976年製作の映画)
3.3
公開当時は中学生の頃で、 “スクリーン”や“ロードショー” の 誌上で見た記憶あり。
TVでも一度くらい観てるかもと思いましたが・・・初鑑賞でした。
ピーター・ボグダノビッチ監督、ライアン・オニールとテイタム・オニール親子による名作『ペーパー・ムーン』トリオが3年後に再度組んだ作品。
でも『ペーパー・ムーン』レベルの名作を期待してしまうと肩透かし。
スターなのに当時ヒット作に恵まれなかったバート・レイノルズ主演作の一本でもあります。

“ニッケルオデオン”とは20世紀の初頭、アメリカでサイレント映画を上映した小規模な映画館のこと。ニッケルは5セント硬貨(入場料)、オデオンは屋根付きの小屋の意味。
物語は映画の黎明期、手探りでサイレント映画を撮り始めた活動屋スタッフ・キャストの奮闘がドタバタ・コメディタッチで描かれます。

邦画で言うと『キネマの天地』や『蒲田行進曲』などのテイストも。今公開されてる『バビロン』と通じる所もあるのかもしれません(3時間と聞いたので劇場には行きませんけど)。

弁護士からナゼか映画監督になる主人公にライアン・オニール。
衣装係からナゼか主演俳優になるもう一人の主人公にバート・レイノルズ。
脚本から運転までこなす無愛想な少女にテイタム・オニール(当時12歳!)

主人公2人が恋のさや当てをする美人女優にモデル出身のジェーン・ヒッチコック。
この人、とてもカワイくて美人なのに聞かない名前だと思ったら、映画進出1作目の本作がコケタため以後はモデル業に専念したとか。
写真を見ると、本作以降も長らく美豹は健在だったようでもったいない話です。

他には、女優役の一人に『砂漠の流れ者』の“ヒルディ”ことステラ・スティーブンス。
映画会社のワンマン社長に貫禄のブライアン・キースなど。

ラストはD・W・グリフィス『国民の創生』(最初のタイトルは“The Clansman”)が公開され、それを観た登場人物たちはその完成度の高さに打ちのめされると同時に、長編映画という新時代の到来に決意を新たにします。
映画の研究家・評論家出身のボグダノビッチらしい題材ですが、あふれ出る映画愛がカラ回り気味でちょっと残念。

なお、エンド・クレジットでスタント時代のハル・ニーダムを発見。
ここでレイノルズと知り合ったんでしょうか?
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