ろ

ゼイリブのろのレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
5.0

金に、容姿に惑わされるな!
やつらに心を許すんじゃない!!!


格差社会のアメリカ。
なんとか職を見つけたネイダは労働者仲間とともにキャンプ地へ。
その隣にある教会では朝4時にも関わらず讃美歌を練習していた。
不審に思ったネイダは教会に忍び込むが・・・。

炊き出しの食事を手に囲むテレビ。
映るのはトレンドファッションを身にまといランウェイを歩くモデルたち。

警察の奇襲に戸惑うキャンプ地の住民。
ダンボールハウスはブルドーザーでなぎ倒され、悲鳴が響き渡る。

おかしい、なにかがおかしい・・・
ネイダはふたたび教会へむかい、そこで壁に隠された大量のサングラスを見つける。
そのサングラスをかけて街を歩くと・・・
そこに広がるサブリミナルの海。
紳士服のショーウィンドウには「CONSUME(消費しろ)」。
「カリブ海の旅はいかが?」の看板には「MARRY AND REPRODUCE(結婚してこどもをつくれ)。
そして雑誌や新聞に連なる言葉は「OBEY(従え)」。
さらに、見えるのはサブリミナルだけではなかった・・・


ネイダがスーパーに入ると、見える見えるやつらの姿。
井戸端会議をしたり、野菜を選ぶ、“人間”を装っている。
「婆さん、あんたの顔はひでえもんだぜ。まるで溶けたチーズを被ってるみたいだ。きたねえツラしてやがる」
「あなた、みえるのね・・・」
一斉に振り返り腕時計にブツブツ呟きながらゆっくりと迫る、この恐ろしいこと。

はたしてネイダはやつらの暴走を食い止められるのか・・・?



世の中のことをもっとちゃんと見極めたい、その力を身につけたいという気持ちから社会学部で学んでいたわたし。
学校をやめて、すっかりマスメディア・SNSボケしていた頭にガツンときました。
きちんと物事を理解せずにただなんとなく生きる。
それがどれほど危険なことか、この物語は痛烈に訴えてきます。
もうすでにわたしたちは「カネ=THIS IS YOUR GOD」という欲に翻弄され、やつらに利用され搾取されながら生きているのかもしれません。

(どこだ・・・どこにやつらがいるんだ・・・)帰りの電車の中で戦々恐々してしまうほどおもしろい今作(笑)
「このあと一体どうなっちゃうの・・・!?」なラストカットまで、必見です!
ろ