クシーくん

ビリー・ザ・キッド/21才の生涯のクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

西部開拓時代の無法者ビリー・ザ・キッドの名前は有名だが、彼を描いた作品を初めて観た。

邦題はビリーの名前だけだが、これは”PAT GARRETT AND BILLY THE KID”の方が相応しい。特別編で追加されたシークエンスを見る限り、主役はあくまでもコバーン演じるパット・ギャレットな気がする。

途中まではギャレットとビリーが無関係な人間を殺し回りながら果てしない追いかけっこをしているので少々辟易したが、映画の終盤まで来てようやく理解出来た。これは男同士の友情と時代の決別を描いた極めて硬派な作品だ。全編通じて西部に虚無的で乾いた風が通底するが、どこか暖かみを感じるのはビリーの笑顔によるものか。

ギャレットがビリーを射殺するシーンで全編に渡って挿入されたボブ・ディランの陽気で、でもどこか哀愁ある音楽を入れずに無音のまま決着が着く。ビリーを撃った直後に自分が映った鏡を撃つコバーンの悲しい顔と、全てが終わりビリーの死体を置いて立ち去るギャレットに石を投げ続ける少年の姿が忘れ難い。

googleマップでフォートサムナーを調べると殺風景な通りが広がっていて映画で描かれた19世紀末の当時と大して変わらないように見える。村の一角に素っ気なく建てられたビリーザキッド・ミュージアムに往時が偲ばれる。きっとサムナー砦の人々の中にビリーは今も生きているのだろう。

音楽担当のボブ・ディランもキッドの味方としてチョイ役で出演しているが、流石にぎこちない。

全然関係ないが、またエミリオ・フェルナンデスが出ていてちょっと笑った。60〜70年代に制作されたメキシコ国境沿いの州が舞台の西部劇では引っ張りだこだったようだ。
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