【Dedicated to…】
マイケルジャクソンが、後に彼の代名詞となるステップ“ムーンウォーク”を初披露したTVショー放映後、ある人物から電話で激賞されたとゆう。
そのパフォーマンスはエミー賞にノミネートしたものの 受賞は成らなかったのだが、マイケルは その人物に認めてもらえた事が何よりも嬉しかったと自叙伝に綴っている。
その人物こそフレッドアステアだ。
本作は『フレッドアステアを頂点とするハリウッドダンスミュージカルの衣鉢を マイケルジャクソンが継ぐ』と極論出来よう。
マイケルジャクソンには、アステアのみならず サミーデイビスJr.やボブフォッシー、ウエストサイド物語、ヴィンセントミネリ等のダンスのスティグマ ―聖痕― が刻まれているからだ。
「自分の後継者が誰か知らないままこの世を去りたくなかった。ありがとう、マイケル」-アステア晩年のこの言葉には、自身を初め本作出演の総てのダンサーへの敬意をマイケルに認めた事の証左であろう。
魂の真の継承に 白人も黒人も(Black Or White)、映画もTVも(MTV)関係無い。
アステア逝去後に刊行されたマイケルの自叙伝は Dedicated to… アステアに捧げられている。
タイトルは「ムーンウォーク」だ。
〈追記〉
マンシーニの曲に乗せて 古今種々様々なダンスがモンタージュされるオープニング。
それぞれは別々のダンスシーンの筈だが、リズムに メロディに リリックに 見事なシンクロを見せており、優れた映画編集者は 同時に優れたコレオグラファー(振り付け師)でもある事を再認識させられる。
「本作を 映画以前の 記録される事のなかったダンサー達に捧げる」― 前述したアステア/マイケルの関係性同様、先人への無上の敬意が本作を貫いている。
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