男なんて単純だ。
相手が美人と来りゃ、膨らんだ欲望を尻目に平然とした顔つきしてやがる。そのくせ上手くいかなくなると愚痴をこぼして、聖母マリアのような女を夢見てる。そんなのばっかだ。俺も人のこと言えないけどな。
親父を探しに出かけたのに、出会ったのは見慣れた苦悩ばかり。
愛されたいのに愛されない。
届けたいのに届かない。
視線は常に他人のもの。
でも孤独だから自分と他人がいるんだ。
線引きがあるから恋をするんだ。
所詮、人のことなんて分かりっこない。
それで充分、自由で上等。
どれだけ車を走らせても追いつけやしない。
喜びを求めるなら、悲しみも覚悟しとけ。
俺らのやってることはその繰り返しで、たまに気晴らしに酒を飲んだり、ダンスするだけ。
でもな、人の孤独と交差する度、自分の孤独と向き合える。ひょっとしたら変われるなんて思ったりする。それだけでも価値はあるさ。
動くな、曖昧なままの今を。