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エド・ウッドのKKMXのレビュー・感想・評価

エド・ウッド(1994年製作の映画)
4.0
 昔結構好きだったガーエーを再鑑賞。結構王道な作品で、普通に良い映画でした。一方でモヤモヤと考える余白はあまりない作品で、現在の自分的にはツボではない作風でした。あと、ティム・バートンで観たガーエーはこれだけですね、後にも先にも。


 1950年代ハリウッド。撮影所で働くエド・ウッドは演劇したりしながら映画を作ろうと考えていました。ちなみに演劇も酷評で、クリエイティブな才能は残念ながらゼロ。しかしモチベだけは100人前のウッドはいろんな人たちを「映画が当たって大儲けできる!」と口八丁でダマくらかして(本人はダマしているつもりはないが、結果的にダマすことになる)、カネを集めては映画作りに奔走します。
 そんな折、戦前のホラー映画のスター、ベラ・ルゴシと出会います。ルゴシはヤク中で零落していましたが、ウッドはルゴシの大ファンなので交流を深めて行きます。そして映画は作られていくのですが……という話。


 本作のキモはウッドとルゴシの友情でしたね。冴えない映画監督(しかも無能)と落ちぶれた老人スターの関係は、なんかグッときました。いや〜ルゴシが切ない。ただ、ルゴシにとって最晩年に世話してくれるだけでなく、自分の価値を認めてくれる人と出会えたのはものすごく幸せだったと思います。リハビリ施設から退職して(カネ無くて追い出されただけなんだけど)、未来に向けて豊富を語るルゴシはなんかすげぇ素敵でした。本作、ルゴシ役のマーティン・ランドーがアカデミー賞主演男優賞を貰ってるのですが、ホントに本作ルゴシの映画でした!

 さて、肝心のウッドですが、人間としてはなかなか軽妙でバイタリティもあり、魅力的です。しかし、やっぱりこの人、監督としてダメですね!カネがないとはいえ、ディテールにこだわらなすぎ!ちょっとセコい場面でも撮り直しせずにどんどん撮り進める。勢いだけで丁寧さゼロ!あ〜こうしてクソ映画って出来ていくんだなぁと思いました。
 スポンサーに「あの墓石、モロに厚紙じゃないか」とか言われても、なんとかリアルっぽくしようとする努力はゼロ。こんなのに投資するのはカネをドブに捨てるようなものです。パクってきて大ダコの機械はモーターが無くて、大ダコに食べられる役のルゴシが二人羽織みたいにするという茶番もヨユーでオッケー。これが本気だから怖い。


 ちなみに昔、エド・ウッド映画はちゃんとチェキしてました。本作で出てきた『グレンとグレンダ』『怪物の花嫁』『プラン9』は観たのですが、これが意外とイケたのです(今観たら違う感想かも)。『グレン〜』はパッとしなかったけど、ほか2つはちゃんと笑えました。
 そう、笑えるようなキュートさがあるんですよね。これがもしかしたら、本作で描かれていたウッドのキュートな人間性やノリノリ感が影響しているのかもしれません。ウッド自身が楽しく作っているので、独特のアッパーなノリがパッケージされているのかもしれません。クオリティはド底辺中のド底辺ですけどね!
 『本気バカ感』とでも言いますか、独特のグルーヴ感がありました。マイク水野のシベ超にも言えますが、監督がバカすぎてバカが作品に浸透しているため、ネタとして楽しめるんですよね。もちろん、作品のみではなく本作など周辺情報があるため楽しめる状況が揃っているという理由もありますが、真面目なだけのクソ映画は周辺情報があってもネタ化できないですからね。『パラダイス・ロスト』なんかネタ化不可能!『セブンティーン、北杜 夏』とか面白がれる点が絶無!味がしない!そう考えると、『プラン9』までのウッド作品は結構良い作品(ネタとしてね!)なのだと思いました。


 演者について。ウッドの初期パートナーをサラ・ジェシカ・パーカーが演じてましたがキュートでしたね。特に声がキュート。あと、ヴァンパイラという怪奇派女性タレントを演じていたのが当時のバートンのナオンで、すげえ美女でした。リサ・マリーという方。2023年初頭に物故したプレスリーの娘じゃないですよ。
 ちなみにバートン、現在はモニカ・ベルッチ様と付き合っているらしいッッ!くそ〜!エロ女神とばかり付き合いやがってバートンめッッ!クソ、羨ましい……ッッ!


【追記】
 なんとなくクソ映画を自分なりに分類して整理したくなりました。ホントしょうもない追記ですが、備忘録的に書いておきます。エド・ウッドの感想文に記しておけば、忘れてもここを見れるし。

①バカ映画
 ネタとして楽しめるクソ映画。クオリティはド底辺だが、ツッコミ入れながら面白がれる。
例:プラン9、シベ超

②ゴミ映画
 単純にクオリティが低いだけのクソ映画。ネタ化不可能なので、ゴミとして捉えました。マジでどマイナー映画がここに入ります。
例:パラダイス・ロスト、セブンティーン

③嫌いな映画
 個人的に受け入れ難い作品。高評価や語り継がれる作品も多い。
例:ピアノ・レッスン、グレイテスト・ショーマン
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