アカバネ

壁あつき部屋のアカバネのレビュー・感想・評価

壁あつき部屋(1956年製作の映画)
4.5
戦争の責任は誰にあるのかという問い。更には、これを終戦からたった11年で製作したというのが衝撃的である。
本作では公開当時はまだ存命していたA級戦犯に対しての責任を問いているが、これが中々にリスキーというか挑戦的というか。とにかくその心意気が良い。’67年公開の『日本のいちばん長い日』では天皇の顔を隠していたわけだし...とは言っても、A級戦犯と天皇ではいくら何でも格が違いすぎるというのもあるかもだが。

本作は戦争の責任の所在を問いかけるわけだが、物語前半ではこれを複数人の登場人物それぞれの回想という形で描いていく。
ここで素晴らしかったのが、映画において回想への場面転換の際によく見られるのが”不自然なカットイン”なわけだが、本作では「幻覚によって房内に銃痕が発生し、それを覗いた際に見えた光景」や「戦時中から今まで持っていた、研いだ硝子の欠片を見つめたときに映る光景(言い方がわかりにくい)」という感じで比較的スムーズに過去の回想へと場面転換しているのが素晴らしい。
また、ただ「殺しを指示した上官に責任がある」というばかりでなく、「上官の指示、ましてや戦争が起こる世の流れに反対しなかった人々全員に責任があるのでは」という、観ているこちらもハッとさせられる問いかけがあるのも良い。

そんなこんなで、ぶっちゃけそんなに期待してなかっただけに超面白かった。
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