うめまつ

ロバと王女のうめまつのレビュー・感想・評価

ロバと王女(1970年製作の映画)
3.6
父親が娘と結婚したがっててめちゃくちゃ気持ち悪い。でもそれがふんわりと「ちょっと頭のおかしな人ね★」くらいの温度感で進むので倫理観のバグが起きる。しかも娘はあまり嫌悪感を抱いていない(教育されてない)ぼんやりさんに描かれていて大変遺憾だ。それを諭すリラの精の助言も「断るために無理難題を押し付けちゃおう♡」というかぐや姫方式を取る。もはや誰のことも信じられない。

空の色のドレスを着る前は、その変化を魅せる為に水色のドレスを着てない方がぜっっったいに良かったよね。そこは反対色のピンクとか青系縛りならせめてネイビーを着せとかなきゃダメでしょ。変身シーンの醍醐味が全然わかってない。シンデレラとセーラームーンを100回ずつ見て出直して欲しい。月の色のドレスは草間彌生銀河みたいで可愛いかった。太陽の色のドレスで愛のケーキを作るとこが好き。キラキラのシフォンの袖が小麦粉や卵で汚れても全然気にせず、超目分量で歌いながら一人二役クッキングするドヌーブ様が素敵。ロバの皮を纏ってスローモーションで走るシーンも美しかった。

ただ人間の顔が青い分にはいいけど、馬を真っ赤に染めたりロバの生皮使ってたりして、いくらなんでも動物の犠牲が大きすぎるのであまり良い気持ちでは鑑賞できなかった。中世設定?なのにヘリが飛んで来たりするのは面白いけど、登場人物の誰にも本物と思える感情が見えないので物語を追う気になれなかった。それを求める映画でないことはわかってるけど、お伽噺なら尚のこと嘘だらけの世界にキラリと光る真心が見たい。ただこの毒っけのあるヘンテコメルヘンな世界観はとてつもなく好みなので、衣装と美術の解説付きビジュアルブックが欲しい。

青の国と赤の国/宝石を産むロバ/ドーム型棺/ネコの肘掛け椅子/逆再生リラの精/魔法の杖のスペア/豚小屋の魔法/白衣と獣頭舞踏会/夢の中のデート/指輪をはめたい
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