あなぐらむ

花嫁はエイリアンのあなぐらむのレビュー・感想・評価

花嫁はエイリアン(1988年製作の映画)
4.0
ひたすらキム・ベイシンガーを愛でる映画。
取り立てて捻りがある訳でもないロマンチック・コメディなんだが、鑑賞後の幸福感が凄い。
当時人気の安定期に入っていたコメディの雄、ダン・エイクロイドを相手に、宇宙から来た美女エイリアン・キム・ベイシンガーがその頃の自身のセルフ・イメージ(所謂「ブロンド美女」的な)を徹底的にカリカチュアして、要するにアメリカ人男性好きのする女ってこんなんでしょ、というのを恥も外聞もなくやって見せる訳で、その見事なコメディエンヌぶりは。後のキャメ子ことキャメロン・ディアスに受け継がれるパッション(違う)だろうと思う。
いやほんとにごちそうさまです。

SFものなのでUFOなどの視覚効果も見所となっているほか、流行りのchatPGTの二歩も三歩も先を行く「KISSって何?」「SEXってどうやるの?」というおバカな検索&レスポンスも爆笑必至。
男の夢みる絶世の美女との愛を描きつつ、最後には家族愛、人間賛歌へともっていく技は流石の監督、リチャード・ベンジャミンである。
撮影には「アンドロメダ…」や「ソイレント・グリーン」などSF系に強いリチャード・H・クライン(「白いドレスの女」もこの人)、音楽は アラン・シルヴェストリ先生。

ダン・エイクロイドのダメパパぶりもやはり見事で、終わってみれば不幸な人は誰もいない、非常に娯楽映画かくあるべし、というような一本である。こういう、無条件に面白い映画っていうのがどんどん減ってる気がするね。アメコミ映画のコメディ路線にその線を見ることはできるにしても。

所で、本作の原題は「My Stepmother is an Alien」である。「継母は宇宙人」というのと「継母は外国人」というのがかかっている。
本作ではダン・エイクロイドの歳頃の娘(アリソン・ハニガンが好演)から見たのがこのタイトルで、実は非常に伝統的な継母、継子の葛藤ものであり、かつアメリカという国の持つ多民族性、多文化性をも包含しているのだ。文化が違えば、セックスまでの段取りだって違うもの。そういう異文化ギャップものを、あえて金髪美女のキム・ベイシンガーが演ることが、本作最大のポイントなのだった。