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エル・ゾンビ II 死霊復活祭のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.7
花火師vsゾンビ軍団!!

11月はゾンビ③

ゾンビ映画苦手な私の最も好きなゾンビ映画のひとつ『エルゾンビ』の続編。3年前にBOX買ったのに前作だけ見てずっと放置してたやつ。前作よりもだいぶ落ちるけど、こちらもなかなか面白かった!

14世紀、悪魔崇拝をしていたテンプル騎士団を村人たちが火炙りにして処刑。処刑寸前に彼らが放った「村人全員に復讐してやる」との捨て台詞にビビった村人は、騎士たちの目を焼くことで村を発見できないようにした。そして現代、この騎士処刑を祝うお祭りの日、ゾンビ化した騎士たちが村人皆殺しのために復活する…という流れ。

このシリーズの騎士ゾンビたちは全員盲目で黒いローブを纏い、剣を使い襲ってくるという、通常のゾンビとは違った特殊型。この悪魔的ビジュアルが本作の魅力で、『ロードオブザリング』の黒衣の騎士のモデルになったとも言われているらしい。彼らが一団となって廃墟や森の中を馬に乗り駆ける姿をスローモーションで魅せる映像が陶酔してしまうほどに美しい。

また、人里離れた森の中にある小さな村という、因習が根強く残っていそうな舞台が醸し出す退廃的美しさが、中世が具現化する舞台としてこれほどにない説得力を持たせていて、前作ほどではないにしても、とにかく雰囲気が良い。

本作は、お祭りに湧く村に騎士ゾンビたちが急襲して大量殺戮に至る前半と、生き残った選抜メンバーによる籠城戦の後半に大きく分かれていて、子ども以外には完全無欠な善人不在の籠城メンバーたちが、あの手この手で自分や身内だけ助かろうと策を弄して自滅していく姿が滑稽で面白い。特に村長が強烈で、前半部分までは顔に似合わずまともな人柄なのか…?と思わせつつも、後半で子どもを犠牲にしてでも助かろうとするビジュアル通りなクズっぷりを披露。こいつ居なかったら結構助かってたのに…😅

一応続編なのだけれど、地続きのお話ではなくメインとなる設定を引き継いだ別作品。ゾンビが盲目の理由も物語に合わせて面白みが増すように改変されていて、『サンゲリア』を先取りしたような前作のラスト後についても一切語られない。そして、前作のような、善悪を度外視した虐げられた文化・価値観の共謀なき共鳴要素は感じられず、自分だけ助かろうとする利己的な本性を滑稽なものとして嘲笑うような作風に本作は方向転換してた。どちらが好きかは好みの問題だろうけれど、映像的高揚感がガクッと下がるのだけは悲しい…。でも、とにかく明るい安村のネタの時に流れる「ヘーイ」みたいな音は引き続き連発してたから笑った🤣

これ見るために前作を見直したので、今月のゾンビ映画は3作目。再鑑賞の感想は向こうに追記してます!
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