ペコリンゴ

ローラーガールズ・ダイアリーのペコリンゴのレビュー・感想・評価

4.2
記録。
転んだ分だけ、強くなる。

エレン・ペイジを主演に迎えたドリュー・バリモアの初監督作。出演に制作、そして監督とバリモアの多才さを証明するような作品。

エレン・ペイジ扮するブリスは引っ込み思案で、過剰な期待を寄せる母親の言いなりとも言える女の子。言われるがままにミスコンに出場し、その気がないものだから当然結果は出ない。そんなある日、ブリスは興味惹かれたローラーゲームを観戦し、心を鷲掴みにされる。彼女は年齢を偽り、家族にも内緒で弱小チーム、ハール・スカウツに加入。徐々にその才能を開花させていく…。

とても真摯な成長物語。

やりたい事が見つからない、なりたい自分がわからない。そんなハイティーン時代を送った方も多いのではないだろうか?

終わらないモラトリアムの中、なんとなく大人になった自分。今が良ければそれも悪くない。でも、これだ!というものを見つけ、掴もうとする少女の姿がこれほどまでに輝かしく見えるのは、過ぎたるあの日の自分を重ね合わせて余りある故の憧れだろうか。

ローラーゲームってとこがまた良くて、思った以上に荒々しく、押し付けに等しい生き方を跳ね除けるほどのダイナミズムを感じさせてくれる。その一方で、母親の彼女なりの思慮や、娘の期待に応えたい反面で認めてほしいという心の機微の描写も丁寧。

鑑賞中、きっと誰もがブリスを応援したくなる、そんな作品。爽やかな青春スポ根の名作ですね。