新潟の映画野郎らりほう

20世紀少年<最終章> ぼくらの旗の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

2.3
【同世代記憶に固執した世界を作った浦沢自身の揶揄】


『最終章』単体としてではなく三作品総じての感想。


1970年近辺への極端な固執を見せる特異なSFエンターテイン~、といった印象で 科学万能幻想・ロック至上主義・東西冷戦とノストラダムスを融合下地とした終末思想・TV文化隆盛によるサブカルチャーの直接的影響、等々[万博世代][おたく世代][新人類]と呼ばれる60年代初頭生まれへの人格/思想形成に影響を及ぼした数々のモチーフが劇中頻出しており、それらが 世界観・ストーリー・時代を再俯瞰する試みへと巧く結び付いていた。
事実、「ともだち」の正体とエピローグでの「窮めて内省的なオチの付け方」は[あの時代]抜きにはあそこ迄の説得力は得られなかった筈で、そこには(おそらく)同世代であろう浦沢直樹自身の強い反映を感じ取れる。

『茶番は終わりにしよう』------【ともだちが 作り上げた世界】でケンジがそう呟く。 ~ それは同時に【同世代の記憶に固執した作品世界を作り上げた浦沢自身】への揶揄であり 作品を終結へと導くものだった。
ラストの【バーチャル = 仮想】を【漫画 = 空想】と照らす事で 私には作品がより一層感慨深いものとなったのだ。




《劇場観賞》