カツマ

ザ・プレイヤーのカツマのレビュー・感想・評価

ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)
3.9
これは巨匠ロバートアルトマンからハリウッドへの脅迫状だ。ハリウッドを馬鹿らしいほどに分かりやすく皮肉っておきながら、その要素を敢えて全てぶち込んで見せるという荒技!劇中でセックスシーンを入れることを皮肉っているシーンの直後に、正にそのシーンを投下してきたのはもはやコメディの域。だが、商業的に見せているのはもちろん表面上だけ。その裏側では序盤からエグいほどの長回しを炸裂したり、セリフは考え抜かれていたりと、アルトマンの裏テクとも言うべき技巧は冴えに冴え渡る!人気俳優を実際に出演させたり、リアリティという反ハリウッド的な要素もバッチリと追求されています。

ハリウッドの映画スタジオの重役グリフィン・ミルは、やり手だがその分敵も多く、その日も脚本家の持ち込みを一蹴したばかり。ここ最近、そんな彼のもとに、自称脚本家を名乗るものから脅迫状が届けられていた。この脅迫者はかつてミルに脚本を無視された経緯があったらしいが、多忙なミルにはそんな記憶すらない。少ない証拠からデヴィッドという脚本家志望の男に犯人としての目星を付け、会いにいくも、衝動的に彼を殺害してしまう。現場から逃亡したミルに、じわじわと警察の手が迫ってきていた。

結局ハリウッドに付ける薬などはない、永久にその体質が変わることはない、ということを痛切なまでに感じさせるラスト10分は、劇中では盛り上がっているが、アルトマン側の視点は完全に冷め切っていた。それでも皮肉で見せる王道の展開は残念なことに面白い。いち鑑賞者としてやっぱりハリウッドに踊らされているのを実感しつつ、作り手側のメッセージはしっかりと感じていたいと思わせてくれる作品でした。
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