新潟の映画野郎らりほう

ブタがいた教室の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ブタがいた教室(2008年製作の映画)
3.6
【答えではなく 問いを提示する映画】


冒頭、豚が学校の廊下を闊歩するとゆう 有り得ない =『超現実的ショット』で幕を開けるのだけど、この[画・ショット]が「ダイレクトに問題提起を表象した巧いショットだな~」と先ず感心した。
我々が命を食するまでの一連の過程中で 近代文明社会では《殺す》事を遥か彼方に追いやっていて、つまり我々は[現実]が一つすっぽりと抜け落ちた食構造に生きているわけだけど その[見えない現実]が[現実]として提示されると[超現実]にしか見えないんだな~ってのを あの冒頭ショットはヒジョーに巧く顕していると思う。

『答えを提示するんじゃなく 問いを提示する映画』で 題材と構造は見事に合致しているけれど 作品構造を題材に委ね過ぎた感は確かにある。 でも卒業迄の時限焦燥や 日の削られ方、卒業との結び付け方等が本当に上手くて最後迄気持ち良く見る事が出来た。
極め付けはラストショットで ここで見られる[豚主観スレスレのショット]に想いを馳せた時、私はそれまで提示されていた[問い]が更なる重層化を魅せたのを感じた。 素晴らしい。




《劇場観賞》