馮美梅

ブタがいた教室の馮美梅のネタバレレビュー・内容・結末

ブタがいた教室(2008年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

これは実際16年前(2008年11月時点)に大阪の小学校で行われた事実を元にした作品です。

監督は「ドルフィンブルー」の前田哲監督、主演の新米教師を妻夫木聡さんが演じています。

新任の教師妻夫木君演じる星先生が、6年2組に着任して、その時に1匹の子豚を生徒たちに「この豚を育てて卒業の時に皆で食べたいと思います」そしてもう1人その場に妙に違和感のある生徒が1人、転校生の甘利花。

クラスに打ち溶け込めない花と、あっという間に人気になった子豚のPちゃん…

少しずつ花は、Pちゃんを通して、クラスメイトとの距離感を縮めていく。
卒業が近づいて、Pちゃんをどうするのかという話し合いが何度も行われたが、なかなか結論を出すことって難しいんですよね。

子供たちが、本当に真剣に、Pちゃんの事を話し合う姿は、緊張感を感じたし、子供たちの表情は本当に真剣で良かった。

でも、やはり星先生も、最初に生徒から名前を付けることを了解してしまった瞬間に多分、Pちゃんは単なる卒業の時に食べるブタから、ペットになってしまったよ~。その時にもう少し、子供たちに対して、機会のある度に、ペットではない事を教えることはできなかったのかなと思ったりした。

それに教頭先生などが「別にブタでなくても鶏でもいいんじゃないか」と言ったけれど、本当にそれでも充分だったと思う。最後に花が、クラスメイトとの距離が近くなったのを見て、それぞれの成長する姿を感じた。

あと、住んでいる場所や環境によってもずいぶんと違ってくるんだろうなとも思った。

現在の日本の都市部ではまず、ブタ肉に限らず、肉はスライスになって食品トレーに乗って、パッキングされているから、塊の肉を見る機会なんてない。

沖縄などは多分、豚肉などをよく食べるし、市場など行けば、豚の頭なども見る機会があるようだから、少なくとも子供たちも映画のような事にならないような気がします。(ちゃんと日常の風景として死んだブタを見る機会があるという意味で)韓国や中国などでもそうかもしれませんね。

多分、他の国の人たちがこの作品を見ると、ある意味、滑稽に見えるかもしれないけれど、結果的に動物を育てるということに関しての意味や、それを食べる、食べないという問題を、子供たちがどんな結果であれ、皆で考えたということは良かったのではないかと思います。

この作品の撮影の前に、出演者の子供たちは、一応、食肉センターの見学などもしたそうです。そういうことを見た上での話し合いの結果ということは、子供たちそれぞれの思いというものが伝わってくると思います。

可愛いもの、愛着を持てるものだったのが一番子供たちを苦しめたのではないかと思います。

星先生にもっと、もっと生き物の命の大切さ、そしてそれを慈しみ食べることの大切さを、子供たちにきちんと教えてあげるべきだったと思います。そうしたら、もっと違う結果になっていたと思うし、動物だけが生きているものではないことも、野菜だって生き物だし、変わりはないということ…食べることは単に、命をつなぐだけのものではなく、その国にとっての大切な文化でもあります。だからこそ、もっとPちゃんを通して、食文化について色々、先生も一緒に学んで成長してほしかったですね。(養豚場に子供たちを連れて行って、育てている人たちに話を伺うとか、肉屋さんなどに行って話を聞くだとか…方法は色々あったはず…)

結果がどうであったのかは是非劇場でご覧ください(笑)

しかし、この星先生の役、松山ケンイチさんしたかったんだろうねぇ~絶対やりたかったろうなぁ(笑)だから妻夫木さんにあんな質問したんだな。(東京国際映画祭の上映会で一般人に混ざって高畑充希ちゃんと観に来てて、普通に手を挙げて妻夫木さんを質問攻めにして、前田監督に「ケンちゃん、わかったから…」と言われていましたね)自分がもし星先生を演じたらと考えたんだろうな~(笑)

劇場は土曜日ということもあってか小学生連の家族が多かったですね。
この子供たちがこの映画を見てどう感じたのかぜひ感想を聞いてみたいもんです。

エンドロールの卒業式のシーンで子供たちの成長した姿がなんだかジーンときた。
馮美梅

馮美梅