あなぐらむ

女賭博師のあなぐらむのレビュー・感想・評価

女賭博師(1967年製作の映画)
3.7
江波杏子の出世作、シリーズ化前夜の第二作は前作から内容を刷新。田中重雄からバトンを託された職人・弓削太郎は単純な復讐ものだった前作から、女同士の生き様のぶつかり合いにブラッシュアップした都会派女性映画の趣きへシフトチェンジした。

都会的な現代劇が得意で、倫理的な作風の弓削太郎には泥臭い博奕の世界は違和があったと思われるが、自分のフィールドに引き寄せた弓削の練達の仕事に池野成の音楽が活き、オープニングとエンディングのナレーションも決まって余韻あるクールな仕上りに。

対するヒロインに大島渚「白昼の通り魔」の川口小枝。ヌードも披露するが魅力的とは言い難いのが残念(個性的ではある)。大映常連の加藤嘉が昔気質の胴師を気迫溢れる芝居で演じる他、内田良平が安定の外道ぶりをクールに決め、そこだけ東映映画の様相。内田朝雄の大親分もそちらっぽい。

星野源みたいな若い山田吾一が江波杏子に憧れる胴師見習いを寡黙に演じ、視線ひとつ、動きひとつで感情を見せる。これが東映なら共に殴り込みでラスタチになるが、そうはしないのが大人の大映、あっさり犬死してしまうのが可哀想。総じて大映本体の役者感が薄い気がするのはやはり博奕もの故か。