このレビューはネタバレを含みます
可愛いお話だった
みんな「負け犬」なのかもしれないけれど
優勝したあの子より
ダンスがうまかったあの子より
お金を沢山持っていて
誰かを審査したり誰かに命令したり
誰かに文句を言ったりする
あの高い車に乗った人だったり
そんな人達よりもずっと
ずっと「良い」なんてのは
後付けかもしれないけれど
苦悩のない人生の方が
いいに決まっているけれど
だって、誰かからの拍手も
輝いた目線も
注目を浴びる紙っぺらに載ることも
認められて人へと伝えられていくことも
好きなことだけを
やりたいようにやっていくのも
全部全部気持ちがいい
車の出入りを制御する機械に
足止めを食らうあいつよりも
俺らで押して走って走らせて
乗ったこの車で
ガツンと壊してやるような
下品だって場違いだって負け犬だって
人の目なんか気にせずに
笑顔で貴方がつけてくれたこの振り付けを
踊れるような
そんな、
そんな人間である方が
きっととても美味しいはず
負け犬は気持ちが負け犬なんだって
お前が美しいのは
見た目だけじゃなく
中身だって
誰かの心がポキリと折れてしまった時に
ただ傍にいてあげられるように
形に頼らずに
心と心で触れ合えるように
優しくて
可愛くて
とてもとても小さな希望
