カツマ

スティングのカツマのレビュー・感想・評価

スティング(1973年製作の映画)
4.2
スコット・ジョプリンの軽快なピアノの調べに乗せて送る、めくるめく一大ぼったくり協奏曲!劇中の登場人物よろしく鑑賞者をも欺く巧みな展開力は見事で、それらを7部構成に分けて、詐欺師の段取りを疑似体験しているかのようなハラハラ感は抜群にスリリングだ。伏線回収率ほぼ100%なのではないかと思うほど、伝説の詐欺師の仕事は正に隙なし。見終わった後の爽快感もアカデミー賞作品賞受賞の名に恥じない鮮やか過ぎるインパクトだった。

詐欺師で生計を立てる若者フッカーは黒人男性のルーサーと手を組んで、通りすがりの男から見事大金をせしめた。だが、そのカモの所持金がニューヨーク裏社会の大物ドイル・ロネガンのものだったことで、2人はロネガンに命を狙われる。
ルーサーはロネガンの差し向けた刺客に殺され、彼の死を目前にして身の危険を感じたフッカーは逃亡する。彼は生前にルーサーから紹介されていた伝説の賭博師ゴンドーフを頼ってシカゴへ向かった。
ルーサーの弔い合戦と称してゴンドーフとフッカーは共闘。ロネガンに一世一代のスティング(騙す、ぼったくる)を食らわせる計画がついに動き出したのだ。

物語の軸はもちろんロネガンへの復讐劇なのだが、どこに地雷が埋まっているか分からない、騙し騙されの連鎖が最後には一本の線となり大団円へと突撃していく様は圧巻の一言!こちらの心拍数まで上がってしまうほどに、ギリギリの綱渡りの連続で、この毎回のギャンブルに軽やかに勝負をかけにいく賭博師達の思い切りの良さにはもはや美学すら感じた。
しかし、ポールニューマン演じるゴンドーフのあのポーカーのフォーカード、どうやってすり替えたんでしょうね。敵を欺くにはまず鑑賞者から、と言ったところでしょうか(笑)
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