Ricola

スリーパーのRicolaのレビュー・感想・評価

スリーパー(1973年製作の映画)
4.0
疲れたとき、悩んでいるときにウディ・アレン作品を観ると元気がもらえる。

この作品もそうだった。

こちらは近未来がテーマだが、実際はアナーキーな笑いがいっぱいで皮肉的だがくだらなすぎて面白かった。

冷凍状態の人間を200年ぶりに蘇生させようとする未来人たち。

蘇生直後のウディ・アレンの顔とヨロヨロした歩き方が笑える。
グルーチョ・マルクスの半白目の顔と似てる気がする。

BGMのおしゃれなジャズさえもはや笑いの一部。動きだけで笑える無声映画のようなシーンもあって、そこはウディ・アレンの先人達に対する敬意を感じる。

未来人から"昔"の人々について写真付きで聞かれるシーンでめちゃくちゃな答えをするウディ・アレン。
例えば、シャルル・ド・ゴールをフランス料理のシェフと言う。

あと必殺技(?)でブルーチーズの臭いを嗅がせて気絶させるのは笑えた。


とにかくカオス過ぎて、話がコロコロ変わるように進む。

そして主人公の情緒というか精神が不安定過ぎるのが面白くてたまらなかった。
特に「欲望という名の電車」のブランチの心が入ってしまったウディ・アレンの演技は、あまりにも滑稽だった。


未来人は200年前の過去の人々とは全く違う生活様式をとっている。

しかし時代は繰り返されるのだ。新しいようでなんだか既視感のある状況に遭遇する主人公。

あくまでも監督らの憶測の未来が描かれていたが、それらが全てありえないとは断定できないはず。


いつものようにウディ・アレンのユーモアとギャグでいっぱいでパンクしかけているのに、ちゃんと社会への問題提起的な要素もあって面白かった。
基本的にはふざけてばかりだけど、それも全て計算しつくされているのではと思うと本当に素晴らしい。
Ricola

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