イヌイットに伝わるお話

むかしむかし
人間はシロクマと同じ言葉をしゃべっていた…

氷の世界に住む母親シロクマと人間のこどもとの愛のお話。

ファンタジーです。
試練を乗り越え彼は"シロクマ"となる。

自然は厳しく
どこで生きたって楽ではないが自分の信じた道を行く。

作画とメロディが自然の厳しさと優しさがあった。


🤫🤫🤫🤫🤫
イヌイットも生まれたばかりの我が子を連れさらわれてかわいそうである。

人間界で生きるのも、自然界で生きるのも、厳しいですね。

アニメーションも素朴で、作品で流れるメロディーも素敵でした。

アイヌ民族のムックリ(口琴)に似た音楽が個人的にきになります。
竹の棒に糸がついているものを口に当てて糸を引っ張ると音がなるのですが、これがまた独特な音色。
練習してコツをつかむと奏でられます。
音がなった瞬間の感動は、忘れられないです。
イヌイットにまつわるお話とのことで、もっと深堀したくなりました。

流産し子を失った白熊によって、我が子の代わりとして育てられた人間の子供の姿を描いた、デンマークのファンタジーアニメーション。
白熊やカラスといった動物達と共に赤ちゃんから少年へと育っていく前半と、人間によって連れ戻され、本当の白熊に生まれ変わるために“山の精霊”の試練に挑む後半という構成。

水彩画調で描かれた自然の風景が美しく、白や水色に美しく輝く氷の大地、黒に近く飲み込まれるような寒さを感じる水面、紫に妖しく輝く夕焼けなど、背景の描写が非常に見応えがある。
また、少年と共に生きる動物たちのキャラクターも立っており、特にお調子者のカラスがとても可愛く、間抜けだが時には頼りになる魅力があった。また、中盤に海の中で餌を捕まえようとするシーンがあるのだが、そこで登場するアザラシがキュートアグレッションを強烈に刺激されるような可愛さでかなり印象的だった。(残念ながら食べる前に逃げられてしまったのだが...)

物語については、人間の立場から考えるとたまったものではないというか、当然白熊たちから子どもを奪い返そうとするのは納得。ただ、やはり白熊サイドを長く観ているとそちらに感情移入してしまうというか、人間の愛情が不気味に感じられる瞬間がある。(たぶん人間側の作画にクセがあるのも大きいが)
白熊になるための試練はかなりあっさりめというか、煽った割にそんなもんでいいんだという拍子抜けな感じ。ただ、動物だけでなく海や北風といった概念的存在が自我を持ち、試練を与えてくるのは神話的で面白いなと思う。

結末も王道だが切なさもあり、また弱肉強食の自然のシビアさがちゃんと描かれていたりと、大人もちゃんと楽しめるようなファンタジーという感じで良かった。