紫のみなと

ダメージの紫のみなとのレビュー・感想・評価

ダメージ(1992年製作の映画)
3.7
公開時映画館で観ましたが、物語のテーマが興味深い。カテゴリは官能とかになるんでしょうが、ルイマル監督ですし、それを期待するのは違うのかなと。この時期のジュリエットビノシュは当時、ファムファタルの代名詞みたいな感じでとても美しく、恋に堕ちて狂っていくジェレミーアイアンズも上手いし、何といってもミランダリチャードソンが今観るとめちゃくちゃ綺麗で演技にキレがあって芸達者。
物語はほんとうに、目を覆いたくなるような稀に見る悲劇で終わりますが、この主人公の行動を馬鹿みたいと笑う人の方が多いでしょうし、単なる不倫といえばそうですが、こういう心理状態に陥った人間の苦しみと哀愁に満ち満ちた映画で、私は割と好きです。
それにしてもビノシュの母親役の劇中の洞察力がすごい。ベラベラ空気の読めない発言をしていたかと思うとしっかり見るべき所を見ている。フランスのマダムは皆あんな才能があるんでしょうか。