彦次郎

新・仁義の墓場の彦次郎のレビュー・感想・評価

新・仁義の墓場(2002年製作の映画)
3.7
戦後の狂犬と名高いヤクザ石川力夫を石松陸夫に名前をかえ時代も現代(バブル崩壊後辺り)にリメイクしたヤクザ映画。監督は三池崇史で屋上からの大量出血の異常さに彼の個性が出ていました。山城新伍は役柄は違えど本作にも登場しています。
主演は岸谷五朗で沢田一家総長・沢田忍をヤクザの襲撃から冷や汗かかずに撃退する戦闘力の高い石松を演じています。堅気時代から金髪無表情で既に人間的感覚がなくなっているように見えますが本職になってパンチパーマ姿となり更に怖くなっています。
沢田親分が歯医者に行ったのに勘違いで組の幹部に重傷を負わせ、沢田にも銃で怪我を負わせるという姿だけでなく短絡的極まりない思考も怖くなっています。逃亡してヘロインで中毒になってからは更に狂気の具合が加速していますが敵をすぐに射殺できる俊敏さよりも、レイプして妻とした智恵子とのヘロインラヴシーンは彼女のマゾヒズムなのか献身なのか理解しがたい異常かつ切ない恋愛のほうが印象的でした。
勘違いで暴力を振りかざしまくっているので頭が悪そうですが。パンツ一丁で機動隊とやりあうもダメとなると即降参したり、首吊りとみせかけるトリックを使って警官を倒して変装したり、刑務官のスキをついて屋上に出たりと妙に狡猾なところもあります。
旧版よりもこちらの石川のほうが暴の匂いが強烈でその点で岸谷五朗氏の演技は良かったです。ただ「弱さ」が曖昧だからでしょうか何故彼を庇う連中がでてくるのかの説得力に弱かった気もします。沢田が「親不孝な奴だ…」と言ったりする場面があったり旧版より現実に寄せている点もありました。
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