Same

コンクリートのSameのレビュー・感想・評価

コンクリート(2004年製作の映画)
1.0
日本の犯罪史上屈指に胸糞悪い事件「女子高生コンクリート詰め殺人事件」を映画化したのがこれ。
この事件、ネットで詳細を読んだ時に事件のニュースで初めて吐き気がしました。人間がここまで残酷になれるものなのか。

この映画が作られたのも事件後たった14年しか経っておらず、被害者の同意を得ないまま映画化されており、上映反対の運動が起こったこともあり、上映は一週間のみの公開となりました。

そもそも評価が低いので、もうどの程度の映画なのかわかりつつ見ましたが、その通りって感じです。

序盤は主犯となる辰夫が、柔道部でのいじめから高校を辞め、ヤクザの下っ端へと転落していく様が描かれます。
まともな家庭環境、まともな彼女、まともなバイト先の建設業の社長が真っ当な道に引き戻そうとするのですが、ヤクザの親分に言われるまま龍神会なる近所のヤンキーを集めたチープな集団を形成。
ひったくりやレイプを繰り返す集団となっていきます。
そしてあの事件に至るわけです。

これで何が言いたいのか。犯人たちにどんな深刻な事情があっても、もはやこの世の誰もまったく共感も理解もできない鬼畜の所業を行った犯罪者たちをどう描くのか。
それにはあまりにも、ほんとあまりにもぬるい。
この程度の出来の映画を作ることしかできない能力の監督ならば、この事件を扱うべきではない。
悪くいうならもっと見世物的に作って、世間から叩かれてまくって、ほんとに発禁になるくらいの方がまだマシです。

無軌道な若者が苛立ちの矛先を女子高生に向けてしまった、というあの事件を起こした犯罪者たちの状況や心情に寄り添った内容にも受け取れますが、それならばやはりそっちに振り切るべきだし、中途半端に残酷なシーンや肌を露出させるシーン、特殊メイクによる暴行の後は見せるならば、目を背けたくなるほど、吐き気がするほどはっきり見せるべきだと思いました。
少なくとも、この映画の描かれ方では犯罪者達は、そこらへんによくいるクズヤンキーとなんら変わりません。家庭環境も似たようなもんです。でもほとんどのヤンキーはあそこまでの事件は起こさないわけです。
なんであの犯罪者たちはあそこまで残虐になってしまったのか。そこを深く掘らなければこの映画を作る意味は皆無です。

映画自体はVシネレベルの演技力のある役者さんが演じているので(そこそこ有名な人もいる)映像作品としては観れるレベルですが、扱っているテーマをまったく描けなかったという点で評価を1とします。
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