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汚れた血のkoyamaxのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
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アレックス3部作中の2作目。

個人感想として、初期カラックス作品は、「真夜中に書いた男子のポエム」的ですが、この純度の高さがあり、ここが堂々としてすばらしいところだとおもいました。

そしてたどり着くのは「愛」。描くべきは「愛」それ一つです。
それも、個人主義的な「愛」です。このあたりはお国柄なんでしょうかね。。(わかりませんが。。)


お話としては、、
舞台はハレー彗星が接近し、夜も暑さに襲われる近未来のパリ。

愛の無い性行為で感染する死に至る病“STBO”が蔓延している世界。
そんな中、特効薬となるSTBOの血清を盗み出す作戦に参加する主人公アレックスは
その過程で出会ってしまうわけです。運命の女子に。という話。


今回は、ほぼナイトショット、かつ無機質かつ陰影コントラストがはっきりしたなセットでの空間演出もありノワールムードも満点。

SFっぽいです。


エイズを意識した設定やケイパーもののシチュエーションなど、結構手の込んだ設定があり、愛のないセックスをしながら生きる人類の悲哀なども描くのか、

とおもいきや、


そこはわりとどうでも良いらしく、笑 


やっぱり、描くべきはボーイミーツガールな(自分の)心の機微であって、孤独の煩悶であって、たどり着くのは「愛」。それ一つです。


とにかく、一目惚れしちゃったそのテンションと心苦しさ、
そこを真正面から向きあう様が、、拗らせ男子を超えてかっこいい。美しい。拗らせる事自体が崇高にすらおもえます笑


映画自体も、
疾走感ある演出に加えてカラーになって配色の鮮やかさが目を惹くところもあり、地下鉄、スカイダイビング、バイクで疾走、真夜中の街の疾走。

仮に意味を深堀りしなくても、心に残る印象的で躍動感がある画や謎に笑える画があります。
グラッフィクデザイン的な影と色合いのコントラストも相まって演出の工夫がとにかく楽しかったです。


当時監督と付き合っていたとされるジュリエットビノシュのしぐさなどみていると、たしかに監督惚れてるな。とまるわかりな気がします笑


全体的に疾走感、焦燥感がビジュアルにも落とし込まれた美しい映画でした。もっと早くに観るべき映画かなともおもいましたね^^;
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