koyamax

グラン・トリノのkoyamaxのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.7
個人の感想と経緯に過ぎませんが、、
昔は地上波で毎日の様に映画が放映されていました。その中で月に1本くらいはイーストウッド映画をやっていたとおもいます。そんな訳で、自発的でないにせよ、イーストウッドの映画は結構観てたとおもいます。

ヒロイズムや正義という名の元に行われるアクションシーンは実は単なる暴力行為であることもイーストウッド映画で初めて言及、認識させられた気がします。

グラントリノはそれ迄のイーストウッド映画の流れをくみつつ、今までの生き方に決着をつける物語です。ある種の贖罪と言っていいのかもしれません。

「あの時こうしていれば、、
そんなこと言っても出来なかったんだ。
出来なかったから今の生き方を歩んできている。
だが、しかし、、。」と。
不可逆な想いをかかえる孤独な人の話です。
最近のイーストウッドの映画は通奏低音にその思いが流れているようにおもいます。

主人公はいつも胸に何かを抱きながら生きている。そして、それはちょっと誰かに話して片付く程度のものではない。。

はぐくんできた、少年やムン族どの交流
。そこをぶち壊された果てに宿る復讐心と葛藤する心。
この流れでも十二分に心に訴える部分があります。

しかしそこは、、
この主人公自身の物語としては、
そこはきっかけです。

遣り残した自分の想いに落とし前をつける話です。

彼にあるのはもっと奥深い自分の罪。
ついに自分が抱えてきたものと向き合うまでにたどり着きます。


イーストウッドがいままで演じてきたすべてのキャラクターの存在も感じさせるラスト。
誰かに繋ぐ想い。悲しみと赦し、名前のつけられない想いの波が押し寄せてきます。いろいろな感情が同居した壮絶な結末でした。。

役を越えて、役者イーストウッドの生き様を観た想いです。
この想いは何作かはさんでが後の運び屋へつづきます。
koyamax

koyamax