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もう頬づえはつかないのkuuのレビュー・感想・評価

もう頬づえはつかない(1979年製作の映画)
4.0
『もう頰づえはつかない』
製作年1979年。上映時間113分。

一人の女子大生の愛と性を二人の男性にからませて女性の自立を描いたもので、見延典子の同名の小説の映画化。
桃井かおりが、何ごとにも情熱を持てない“シラケ世代”(なんじゃそりゃ😀)の若者の感覚をみごとに体現した演技で高い評価を受けたそうです。

早大文学部に通うまり子は、アルバイト先で知り合った同じ大学の橋本と同棲していた。
そんなある日、以前つきあっていたルポライターの恒雄が戻ってきた。。。

早大生、 見延典子の卒業制作で、ベストセラーになった小説が原作。
前年 『サード』を発表し東陽一監督の新作でもあり、タイムリーじゃ生まれていないし種さえない。
しかし、現代で見てもよくできてる作品やと思う。
あくまでも書物やらからの知識やけど、ポスト全共闘時代の大学の雰囲気や、シラケ世代と呼ばれた若者たちの気分が、当時の風俗とともに、うまく描かれていると思う。
タイムリーに過ごされた方ならもっと深く考察されるやろなぁと。
まり子(桃井かおり)が住む古くて狭いアパートや、廊下に置かれた共有の公衆電話はガキの頃に見慣れた光景やし、まり子の部屋に転がり込む橋本君(奥田瑛二)の白いブリーフも小生のガキのころ定番下着やった。
今作品は劇的な物語ではない。
年上の全共闘くずれのルポライター恒雄(森本レオ)に惹かれながらも、優しくて強引な橋本君の求愛も断り切れないまり子の、揺れる心と男と女のすれ違いが主題やし現代向きの作品とは云えないけど、巧い描き方。
彼女はどないな選択するんか。
それは観てのお楽しみですが、だが、まり子の
『(結局あなたは)自分ばっかしね』『自分以外信じない人だもんね』ちゅう言葉は、妙に野郎にはズキッと来た。
『そんなことはない』と野郎としては云いたいとこやけど、すればするほど、女の心は遠ざかっていくんやろな。
主役を中心に回りを固める俳優は皆いい。
せや、やはり桃井は特出してる。
小生のガキの頃に会ったときがあって『可愛い(実際は宇宙人の様な顔だか)』と云って胸に抱かれた経験や、先日最終回を迎えた『緊急取調室』での桃井かおりの熱演を見てるからか多少の贔屓目はあるかもですが。
決して、きれいに撮られようとはしてないけど、まり子に命を吹き込んでるし、キュンときたし、 ラストの一 陣の風がさわやかやった。
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