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ハーダー・ゼイ・カムのwigglingのレビュー・感想・評価

ハーダー・ゼイ・カム(1973年製作の映画)
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二度目の爆音映画祭 in 福岡、あの凶暴すぎるBLACKBELTサウンドシステムで映画を鳴らすというゴキゲンなイベントにて。PAじゃなくてサウンドシステムですからね。
そこでかかるのが本作ですよ。ジャマイカ初の自国製作映画をこの環境で初鑑賞できる幸運たるや。

サウンドシステムやダンスホール文化から生まれたスカビートが、ロックステディを経てレゲエに至ったという歴史を背景に、音楽の現場にはびこるひどい搾取構造にたったひとりで戦いを挑んだ若者の物語です。

この戦いはレベルミュージックとしてのレゲエの姿そのものなんですよね。イギリスからの独立に伴う混乱や腐敗しきったシステムと戦う民衆を支えたのがレゲエミュージックだった。
アイヴァン(ピーター・トッシュ)が警官殺しで逃亡中に彼の曲が大ヒットするくだりが印象的。

映画的云々で評価すると色々と下手ではある。テンポは悪いし、この内容なら90分で十分だし。喧嘩シーンでナイフで刺しまくって半殺しにするのもどうかしてるよ。

でもそんな事はどうでもいいと思えるほど音楽が良いんですね。"The Harder They Come", "You Can Get It If You Really Want", "Many Rivers To Cross"などの名曲がキングストンの映像をバックに鳴り続けるのホントたまらん。
ピーター・トッシュが想像通りの人間像だったのも可笑しかったな。

今も聴き続けられるサウンドトラックは名盤中の名盤です。聴いたことがない方は是非。
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