オレオレ

Queen Victoria 至上の恋のオレオレのレビュー・感想・評価

Queen Victoria 至上の恋(1997年製作の映画)
3.5
大英帝国の黄金期を築いたビクトリア女王が最愛の夫、アルバートを42歳で亡くした後のストーリー。あっらー、視聴者数、めっちゃ少ないのね!

自他ともに認めるおしどり夫婦だったビクトリアとアルバート。
その死を大いに嘆き悲しんだ女王は、ロンドン以外の居城で過ごすようになるが、数年たっても常に喪服で過ごし、家族にも自分と同じ城にとどまることを命じる。黒い服ばかりが集う食事シーンが最初にあるのだが、女王が食べ始めるまでは食事を開始できず、かつ、女王が食べ終わる=食事の終わり、というルールがあるため、みんな黙々と会話もなくハイスピードで食事を行う。怖いわ~、このテーブル!

引きこもりは体に悪いだろう、ということで、スコットランドのバルモラル城でアルバートの馬丁であったブラウンを呼び寄せ、女王に乗馬や野外でのアクティビティを進言する周囲。
渋々従うビクトリアだが、ブラウンの飾らない人柄と誠実さに次第に惹かれるようになり、彼を重用し始める。
次第にその関係は周囲の噂となり、世間でも、女王のことを「ミセス・ブラウン」などとからかう風潮が現れるが・・・

当時のイギリス国会の勢力争いや女王の政治介入というのがちょっとわかりづらかったけれども、全体としてはブラウンとブラウンによって癒されていく女王、という、文章にしてしまえばなんてことはないストーリーでした。
でも、やっぱりジュディ・デンチがいいねー。そりゃー大英帝国トップで何十年も君臨してきたんだもの、言う事やることすべてがエラソー、いやいや威厳たっぷり。夫を亡くした悲しみも、誰ともシェアできずにガチガチに殻を被って生きているというのがよくわかる。周りは腫れ物を扱うようにしか接しないしさー。
なもんで、ブラウンとあって寂しさが和らぎつつある自分の心境(「亡くした人間のことを前より思わなくなるのは罪ではないか」的な戸惑い)を神父(司祭?)に女王が告白するシーンが良かったです。
かわいい・・・デンチ・・・。
結局、ブラウンにも先立たれてしまうビクトリア女王ですが、それもそのはず、81歳まで生きたんだもんなー。周りのほうが短命だって。

全体に地味な上にブラウンのスコットランド訛りがすごくて字幕必須ですが、なかなか渋く、でも女王のことを単純に、「あー幸せになって欲しいなあ」と応援したくなる映画でした。