カツマ

トップガンのカツマのレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
3.8
轟音が鳴り響く。空母の背は激しく振動し、精鋭たちの到着を待つ。その翼は空を真っ二つに割り、炸裂は音速の世界に突入、生死の境目はその腕一つに託された。今飛び立つのはそのトップを狙うものたちの群れ、トップ・オブ・トップを目指す男たちの飽くなきバトル。彼らの名はトップガン、精鋭中の精鋭たちによる大空を舞台にした標のような一瞬の煌めき。

1986年の全米興行年間ランキング1位を獲得するなど、トム・クルーズの出世作として知られる殿堂中の殿堂。30年以上が経過しての続編も驚いたが、それほどにトムにとっては思い入れの強い作品ということなのだろう。監督には80年代後半から全盛期を築いた名匠トニー・スコット。製作の名にはジェリー・ブラッカイマーが名を連ねるなど、大作を大ヒットさせるべく強力な布陣で固められている。テーマ曲の『デンジャーゾーン〜TOP GUN THEME』をはじめとしたサウンドトラックに彩られ、ここにトム・クルーズの栄光の始まりは燦然と刻まれることとなった。

〜あらすじ〜

アメリカ海軍のパイロット、ピート・ミッチェル(コールサイン、マーヴェリック)は天才的な操縦技術を持つ凄腕だが、周囲の命令を無視したり、管制塔のそばを飛んだりなど、問題行動も多いパイロットであった。そんな彼に呆れながらも相棒のグースは後方から彼を支え、マーヴェリックとグースのコンビは空では無敵の操縦を見せた。
そんな彼らはついに精鋭ばかりが集う部隊、トップガンへと配属されることが決まり、マーヴェリックは鼻息荒くトップガンの中でもトップを狙うことを堂々と宣言。だが、問題行動の多い彼がトップガンに参入できたことにはある理由があった。それは彼とグースのコンビが唯一、敵方の飛行機と交戦し、これを撃退したという実績を持っていたからであった。
その後も自信満々のマーヴェリックはバーで一目惚れした女性、シャーロットに言い寄り、若さ全開のやんちゃっぷりを見せるも、トップガンでトップを取るにはライバルのアイスマンを凌ぐ成績を残す必要があり・・。

〜見どころと感想〜

これぞ正に王道!なスカイアクションの大定番にして、80年代当時の大作の雰囲気を色濃く残す作品である。ほとんどのシーンが実際の飛行機を飛ばして撮影されており、飛行機アクションをカッコよく撮ろうとする、そのこだわり具合は尋常じゃない。ストーリーは超王道。いかにもなザ・ハリウッド映画なのだが、シンプルさで押し切れる絵の強さが量産型ハリウッド映画とは一線を画すクオリティを実現している。

まだ若気の至り全開のトム・クルーズはここからスター街道を爆進し、現代に至るわけだが、この当時からアクションへのストイックさを感じる役作り。若くして圧倒的な主人公オーラを放ち、トムという太陽が映画全体を明るく照らしているようにさえ思える。他にもヴァル・キルマー、メグ・ライアン、ティム・ロビンス、アンソニー・エドワーズら、のちの売れっ子俳優たちを続々と輩出。そして、ヒロインを演じたケリー・マクギリスがトムと並んだ時の美男美女オーラは異常。当時のアメリカらしいヒーローとヒロインの描き方も王道スタイルで表現されていた。

やはり一番の見どころはクライマックスのスカイアクションシーンで、生きるか死ぬかに立たされたパイロットたちが、決死の覚悟で照準を合わせに行く描写がハラハラとドキドキを助長し、アドレナリンを暴発させる展開がとにかく熱い。その中心にいるのはやはりトム・クルーズという、スーパースターの命運を背負った男の存在だろう。絶対的な王道、定番映画としての真っ直ぐさは未だに健在であり、2020年代にあっても『トップガン』はトム・クルーズの代表作であり続けるのであった。

〜あとがき〜

今週末に『トップガン・マーヴェリック』をスタンバイしていますので、見た気になっていて、実は見ていなかったこの大定番映画を初鑑賞することになりました。

オープニングを聴いて一気に腑に落ちる安心感、最高の時間が始まることを疑わせない説得力。若きトムが満面の笑みで女子トイレまでナンパしに行った時には、こいつ相当ヤバい奴だな、、!と思いましたが、それを忘れさせるくらいには熱い映画でしたね。続いては続編のレビューになると思います。IMAXで観ることができるので今から楽しみ。
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