かつきよ

トップガンのかつきよのレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
3.7
うーん!手堅い名作!
新作がすこぶる評判がいいので予習もかねて初鑑賞。
やはりトムクルーズの映画といえば絶対に名前が出てくる歴史的な映画なので、まず鑑賞できてよかった。
聞いてはいたけど、バチバチの王道譚!!
勝ち気で自信家の天才パイロットの、恋と挫折と苦悩と……。
ひねりやどんでん返しこそないけど、ストレートで王道だからこその褪せないクオリティ。テンポよく話が進むので見やすい。人間ドラマがマルチに楽しめる。挫折や苦悩を描いた後半はそこそこ重かったけど、前半は陽気に歌を歌ったり、はっちゃけたりするシーンも多くて、アメリカの陽キャ世界を覗き見た感じもして、日本の陰キャには眩しかったです。トムクルーズのはっちゃけが可愛らしくて、いいものを見たなとは思いました。

●男臭い映画が好きなら◎

個人的に感じた最大の特徴としては、とにかく男臭い。男性社会の話で、軍の話なわけだから、登場人物はただでさえムキムキの男ばかり。え、エアコンないの?と思うくらいみんな常に額に汗を滲ませているシーンが多くて(もちろん緊張感や熱気込みでの演出もあるだろうけど)、更衣室で惜しみなく肉体を晒すシーンや、しまいには半裸の男衆がビーチバレーをするシーンまである始末。むさ苦しさを感じるシーンが多くて、良くも悪くも男性的なパワーを感じる映画。
好きか、ハマればいいけど、苦手な人は苦手そう。

●戦闘機に興味がないと辛い所も

大大大好きな森博嗣先生の小説、ぺろりと読めてしまうけど、スカイクロラは挫折したくらい戦闘機に興味がない……
興味なさすぎてこのトップガンも何度も避けてたけど、鑑賞後も「戦闘機好きになった!」とか「はまった!!」ということはなくて、ドッグファイトのシーンかんかは何が起こってるのかわからないまま。……序盤も終盤も、ポカンが多くて乗り切れませんでした(°ᾥ°)笑

強さとか凄さとかわからないと、戦闘シーンって盛り上がりきれない。肉弾戦ならまだわかりやすいけど、飛行機の戦闘って馴染みがないし、アニメやSFであるようなわかりやすい戦闘ではなくて、実写を使った現実的な戦闘だからこそ、馴染みづらく、入り込みきれなかったように感じます。
まず、怒られるかもしれないけど、戦闘機全部同じに見えちゃうから敵味方とかも全然わからないし、なんなら、今全部で何機飛んでるのかもわからない始末……笑
パイロットの顔が映っても誰なのか(序盤は特に)
わからないし、みんながどう動いてて、どうすごいのかわからない……
わりと最初と最後の戦闘シーンは尺が長いので、乗り切れない時間が長く感じてしまって、そこだけが残念でした。ただ、CGなしの本物の戦闘機っていうのは、40年近く前の映画と思えないくらい、チープさを感じさせない迫力があったのは確か。
戦闘中や戦闘後、状況や行動の説明もちょくちょく展開の中で入ってくるので、全くわからないということもなくて、「あれってそういうことだったんだ」と理解できるシーンがあるのも個人的には◎
説明はありがたや。

●トムクルーズのかっこよさよ

他の俳優さんもみんなかっこいいんだけども、トムクルーズのかっこよさって異質。今でこそ頑張る世界のトムおじさん応援してます!って感じだけども、当時に生きてて映画館で初めてトップガン見たら、自分なんかは、話の内容よりトムクルーズ存在感に圧倒されていただろうな、と想像してしまいました。出世作というのも頷けます。
とにかく話がある程度肌に合わなくてもトムクルーズを見るだけでも価値がある映画だなとは感じました。トムクルーズにも話にも興味がなかったらそれはもうしょうがないけれども。
いいものを見ました。




※以下、ネタバレ有り感想




















ーーーーーーーーーーーーネタバレ有り





















●全体的に若干の物足りなさ

テンポ良く、マルチに楽しめる反面で、各要素が若干もう少し深掘りしてほしいなと思った所が多々

●お父さんの死の真相

そう、例えば、お父さんの死の真相とか……
呪われた苗字?とか、お父さん関連の伏線がけっこうちらほら入れられていたけど、真相解明シーンは結構あっさりだったし、真相という真相も思ったより衝撃的ではなくて、ほーん、という感じ。
燻っていたマーヴ君の背中を押す大切なシーンで、大切な要素だったけれども。

●恋愛要素も

声かけた美女が実は教官で、才能にも容姿にも惚れて愛し合っていく感じは、コテコテ of the コテコテ。マーヴは天才パイロットで、世界が堕ちる超絶ハンサムガイだからチャーリーが落ちるのはわかるけど、一方で女の子を泣かせ続けてきたというマーヴがチャーリーに首ったけなのにあんまり説得力を感じませんでした
たしかにケリーマグギリスはとんでも美女だけど

●ライバル関係

マーヴのライバルといえばアイスマン!
鑑賞前からマーヴとアイスマンの創作は見たことがあったので、二人はさぞクソでかな絡みを見せてくれるんだろうな、と勝手に思っていたのですが、思ってたよりも弱火でした!
もっと、がっつり強火の絡みがあるものだとばかり……

どちらかと言わずとも、マーヴとのペアとして考えるなら、ライバルであるアイスマンよりも相棒のグースとの友情の方がバシバシ来ました

問題児のマーヴと、陽気で人当たりが良くて心優しそうでムードメーカーっぽいグース、なんでこの二人がコンビなのかわかんないけど、二人の信頼関係熱い。
グースさんピアノ激うまだし、二人で陽気に歌ってるシーンとか、こちらまでいい気分になれてとっても◎でした

●そんなグースくんの……

突然の事故死
突然重すぎてびっくり。
死ネタとか関わってくる話だと全く思ってなかったので……
え、本当に死んでしまったの?事故で半身不随とかじゃなくて……?と困惑

奥さん、前日まで旦那さんと仲良くしてたのに、突然の未亡人で、辛いだろうし、心の整理も追いついてないだろうし、マーヴのこと責めそうなものだけど……そうじゃなくて、マーヴのこと、旦那さんのいちばんの親友だって言って抱きしめるのも辛い

何か言葉をかけたり、発したりしたいのに、何も言葉が出てこないトムクルーズ。絶妙な演技に圧倒されました。
ラストの戦闘でびびって戦線離脱しそうになった時、グースのドッグタグに祈るシーンも好き。

最後はなんでドッグタグ海に放り投げたんだろうか。一生大切に持っておくものではないのかなぁ
かつきよ

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