円柱野郎

月に囚われた男の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

月に囚われた男(2009年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

序盤、衛星故障で地球との通信も出来ず孤独に蝕まれていく主人公。とうとう幻覚が見え、事故を起こし、次に気がつくと目の前にはもう一人の自分が…。と、閉鎖空間の中で次第に精神がやられていく男の話かと思いきや…違った。そして使い捨てのクローンだったという自分の正体を知った主人公の姿を見て、「ああ『ブレードランナー』だったのか」と納得するんだけど、その先で描かれる二人のクローンの心情の描き方が良いね。二人の同一人物がお互いに共感を得ていく場面の積み重ね。コンピューター・ガーティは「2001年~」や「エイリアン」の様に裏があるのではないかと勘ぐってしまったけど、本当に最後まで裏切らなかった彼の“気持ち”にジーンとしてしまった。
"宇宙基地"と"クローン"という設定だけで、このように人間の心情を物語として見せたこの話は、本当に見事なSF映画だと思う。確かに登場人物が少ないし、派手さもない。でもこの映画は「地味な映画」とだけで片づけてしまうには勿体ない魅力があると、俺は思う。
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