ゼロ

るろうに剣心のゼロのレビュー・感想・評価

るろうに剣心(2012年製作の映画)
3.3
優しいヤツほど気をつけろ。

大人気少年漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を実写化した作品。監督は、大河ドラマ「龍馬伝」を手掛けた大友啓史さん。主演は、佐藤健さんで、シリアスな主人公を見事に演じ切っています。

漫画の実写化作品としては、質が高く作られています。

本作は、原作にあったスピードある殺陣を、実写ならではの殺陣に作り上げています。必殺技を叫ぶようなことはしていませんが、剣心の古流剣術「飛天御剣流」の抜刀術は、現実に即した形で撮られています。他にも鵜堂刃衛を演じた吉川晃司さんの艶のある演技や武田観柳を演じた香川照之さんの過剰な演技も良かったです。

演者の殺陣が良い反面、漫画の魅力の一つでもあったキャラクター達は弱かったな…と感じます。例えば、主役の緋村剣心の性格。普段は温厚、剣を握ると殺伐とするギャップは、 本作品では感じられなかった。シリアスの演技は素晴らしかったが、口癖である「おろ」や「ござる」を使うのには違和感があった。他に相棒である相楽左之助は、存在としては空気な感じであるし、明神弥彦は幼い感じがして存在感がなかった。

実写化作品の難しいところではあるが、漫画にあったキャラクターの魅力をもう少し出していれば、もっと面白い作品にはなったと思う。だが、作品の最大の魅力である殺陣を疾走感ある感じて描き、作品の大きなテーマである「贖罪」を描こうとしている部分は、評価できる。

少しでも気になる人がいたら、おすすめはできる。そんな作品でした。
ゼロ

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