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女はみんな生きているのkuuのレビュー・感想・評価

女はみんな生きている(2001年製作の映画)
3.8
『女はみんな生きている』
原題Chaos.
製作年2001年。上映時間112分。

フランスのアカデミー賞であるセザール賞で5部門のノミネート、娼婦を演じるラシダ・ブラクニに最有望若手女優賞受賞の快挙をもたらした仏国女性ドラマ作品。

エレーヌ (カトリーヌ・フロ)は、 フルタイムの仕事もこなす中年の奥さん。
旦那のボールは会社の社長で日々おお忙しで、
飯は作ってあって当然、
シャツにはアイロンがかかってて当然、
エレーヌを家政婦同然の扱いに。
ひとり息子のファブリスも、お節介を焼く鬱陶しいオバチャンとしてしか見ておらず、エレーヌは空しさを感じてる。
ある晩、エレーヌはポールの運転する車で夕食会へ出かける途中、娼婦が男に暴行される場面に遭遇。
エレーヌは彼女を助けたいのに、触らぬ神に祟りなしトラブルに巻き込まれたくないボールは車のドアをロック。
救急車すら呼ばずに去っちゃう。
翌日、罪悪感に駆られたエレーヌは娼婦の入院先を突き止め、お見舞いに。 娼婦の名前がノエミ (ラシダ・ブラクニ)で、意識不明の重態だと知り、泊まり込みで必死の看病を。  
やがてノエミは意識を取り戻し、その口から語られた生い立ちのすさまじさといったらほんま、それだけで映画が1本できるが如き。
ノエミは厳格なイスラムと男尊女卑の家庭で育ち、人身売買のような結婚から逃れるには娼婦にならざるをえなかった。  
ノエミは頭のいい女子で、 売春組織と家族への復讐を計画し、エレーヌも巻 きこんで~の女子だけで成功させる。 野郎たちを手玉にとった計画の巧みさに👏。
一方、エレーヌも自分とは正反対の状況を生きてきた ノエミに関わっことで、 徐々に自分を取り戻す。
折角、作った料理に息子がケチをつけたのをキッカケに、怒り爆発。
家事拒否宣言。
女って崇高なメッセージを掲げ自立するんじゃなく、不満たらたらの日常生活に決別すっために、革命を起こすもんかな。
そして、エンディングへ。
エレーヌは女子であり、人間であるちゅうことを自覚し、認め合う女子たち4人で一緒に新しい生活を始める。
兎にも角にも個人的には素晴らしい話でした。
因みに、エンドロールに流れたんは、

ゴルトベルク変奏曲 BWV.988/アリア(J.S.バッハ)。

この曲は、『羊たちの沈黙』でイカれ・レクター博士も聴いてた。
あの凄惨な虐殺のあと、静かに流れるアリアを恍惚と聴き入るレクター博士に、彼の心の闇の深さを思ったモンやけど、今作品でも単なるエンドロール以上の印象を与えていたかな。
極端に装飾音を排除した演奏からは、野郎どもをやりこめてやった女子たちの痛快さはどこにも感じられず、静謐やけどどっか空虚な響きがあったかな。
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