櫻

ナイン・ソウルズの櫻のレビュー・感想・評価

ナイン・ソウルズ(2003年製作の映画)
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叶わないことばかりが、雲のようにふくらんでいくようで切なかった。赦されないことばかりしてきましたと、同じまなざしをして空をあおぐ。過去と現在は切り離せず、奥底に沈めておくしかなかった少年のころの純粋さを、やりきれなさとじゃれ合うことで手懐ける。檻のなかと外はさほど変わりはなく、むしろ狭くかんじさえしたのでは。どこに行っても、なにをしても、逃げてまわっても、からっぽの自分を見つけるだけだったね。2000年代前期の邦画の湿度と温度感を今すごく欲していたので、とても満たされている。
櫻