新潟の映画野郎らりほう

ミツバチのささやきの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
5.0
【イノセンスを介し届く至宝】


落陽を背に焔との戯れ…、一面の荒野…、暗闇に浮かぶ顔…。
黄金色の陽射しに照らし出される映像群は 尋常ならざる階調の色合いを有しており、全ショット antiqueな絵画の如き美しさに満つ。

反戦の静かな訴え、父への畏れ、初めて意識する「死」と、その魅惑的側面…。
精神の結び付きに迄 高められた「映画を観る喜び」は 我々映画を愛する者に贈られた「至宝」だ。 それらが少女のinnocenceを介し届けられる。
台詞を最少とし、絵画的映像美の列なりによってStoryを[語る]静謐で強靭なエクリチュール。

pureな少女の瞳の瞬きから 更に一切の混じり気が失われる姿は美を超越し、私は強く畏敬する。




《生涯最高峰級認定/DVD観賞》