円柱野郎

山猫の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

山猫(1963年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1860年のシチリアを舞台に、終わりゆく貴族の時代を描いたルキノ・ヴィスコンティ監督の作品。

少なからずイタリアの歴史を知らないと難しいところもあるけど、その時代を感じ取れる画の切り出し方が素晴らしい。
シチリアを統治してきた“山猫”の紋章を持つサリーナ公爵・ドン・ファブリツィオの暮らしぶりと、後半のほとんどを占める舞踏会という"貴族"の世界。
舞踏会の場面が豪華で浮世離れしているほど、ファブリツィオが感じ取る時代の変化とのギャップに貴族の未来を見て、彼は涙する…。
具体的な説明はなくとも、その空気の描き方だけで雄弁に語る映画とは、どういうことかと気づかされる思いですね。

聡明であるファブリツィオ。議員にと誘われても「支配階級だった者が議員になぞ」と断る姿は、その政治体制の意味を理解していないと出てこないだろう。
演じるバート・ランカスターは貫録もある素晴らしい演技。
甥のタンクレディを演じるアラン・ドロンも良い二枚目の演技だと思うけれど、やはりバンカスターの哀愁すら感じる舞踏会の後にはやられる。

ただ、上映時間としては186分(完全版)と長い。
観終わればこれで良いとも思えるけれど、延々と続く舞踏会はやはり長い。
でもそれが"貴族の世界"の没落していく所以を感じさせるところでもあるのだけれど。
円柱野郎

円柱野郎