"完璧なマジックには、犠牲がつきものだ"
【STORY】
アンジャーとボーデンという2人のマジシャンの争いと、謎めいたトリックの数々を描く。
2人がまだアシスタントだった時に起きたある事故以降、2人は折に触れて対立を深めていく…
【REVIEW】
「承認欲求とプライドをこじらせ過ぎたマジシャンたちの化かし合い」というのが表のメインストーリーで、ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが精神も性格もボロボロになりながら互いに勝とうとキリがなくなっていく様子がシンプルに観ていて面白い。
そして、裏では監督過去作『インソムニア』の最後に残った問いともいえる「人に見えている側面だけが現実、と片付けてよいものか」に対してのアンサーとも言える「外面だけを気にして、裏で倫理が滅茶苦茶になっていく狂気」を見せつける。
見せかけの偉大さ・煌びやかさに気を取られて、本質的な幸せを失ったり、近くの人々への愛を与えられなかったり…という悲劇は、まさにSNS全盛の現在にそこら中で起きていることなのでは?
本当かもわからない赤の他人の「幸せごっこ」「成功ごっこ」を真正面から受け取って嫉妬して、マウントを取らなければ気が済まない怪物がまた別の怪物を生み出していく。
変な競争心や嫉妬心がなければ、結果的に今より幸せだったのでは?というわかりやすい事例を今作は描いている。
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観た回数:5回
直近の鑑賞:Amazon Prime(20.10.04)
U-NEXT(24.03.26)