彦次郎

地獄へつゞく部屋の彦次郎のレビュー・感想・評価

地獄へつゞく部屋(1959年製作の映画)
3.3
金持ち夫婦が1夜過ごせば1万ドルの賞金を渡すとして幽霊屋敷に集められた5人の恐怖を描いたホラーミステリー。
登場人物は先の金持ち夫妻に加えパイロットのランス、コラムニストのラス、精神科医トレント、美女ノーラ、屋敷のオーナーにして冒頭のナレーターであるワトソンのみ。舞台も件の屋敷のみというシンプルな室内劇みたいな設定になっています。
ジャケットはえぐいですが恐怖体験をするのは基本的に美女ノーラの役割。ホラーを見慣れた人からするときっと人死までのテンポが悪いとか文句を言いそうですが真相を知ればキチンと理屈が通っていることがお分かりいただけると思います。登場人物たちの会話が中心で地味な話ですが犠牲者が出て拳銃を持ってお互いが部屋にこもる後半からの二転三転は面白く作り手が超常現象を理性的に捉えていることが窺えました。
wikipediaによると"この映画でもっとも有名なのは、初公開時に使われた「イマーゴウ(Emergo)」と呼ばれる宣伝用のギミックであろう。スクリーンの横に滑車を仕掛け、映画の後半、ある場面が来たところで、観客の頭上にプラスチック製の骸骨を飛ばしたのである"という恐らく現代の映画館でもみられない演出が特徴。低予算ながら大成功を収めそれに刺激を受けたヒッチコックが『サイコ』を制作した(らしい)ということで関連性も意外でした。
なおパブリックドメインなのでwikipediaでも全編鑑賞(字幕なし)が可能となっております。
彦次郎

彦次郎