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PASSIONのshxtpieのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
3.5
すっかり忘れていた「サンクスシアター」がもう終わっちゃうかもしれない、というので、やば、と思って、見た。

たしかに、ジョン・カサヴェテスだ。まちがいない。カサヴェテスを、「ニッポン的」、「ニッポンの都市的」な感覚でやっている、と言える。そして、ところどころに相米慎二もある(フリスビーのシーン!)。

それよりも、濱口竜介の映画は、(濱口の鑑賞者が思っているよりも)俗っぽい。卑俗さ、卑近さ、俗情。そういうものがある。大衆的、と言ってもいい。エンターテインメントでするある。それがはっきりと表れた『 PASSION 』を見て、ああ、これは 21 時台に放送されているテレビドラマみたいだし、テレビドラマに翻案されてもまったく遜色がなさそうだな、と思った。そして、それは、けっしてけなしているわけじゃない。とにかく、『 PASSION 』は 21 時台のテレビドラマみたいだと、そう思うのだ。濱口竜介は、坂本裕二をめざすべきなのかもしれない。っていうか、テレビドラマの脚本を書いてほしい。そして、それは濱口のたぐいまれな才能であって、どうしてこのすぐれた感覚を『寝ても覚めても』で活かせなかったのだろうか、とも思った。

とにかく、まだまだ荒削りではあるけれど、おもしろいドラマが展開される映画で、濱口のぶれなさを知る原点でもある。最後の方の河井青葉と岡部尚の長回しには、ちょっと震えた。
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