三次元からきたブロンディ

スパイの三次元からきたブロンディのレビュー・感想・評価

スパイ(1957年製作の映画)
4.1
記録

名匠アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが手掛けたスパイ映画。

1人の工作員にある人物を精神病棟に匿ってほしいと依頼された精神科医が、周囲に潜む工作員たちの目を眩ませようと隠し続けるが…

本作はドンパチなアクション映画なのかと期待していたと思ったら、これはアクション映画ではなくサスペンス調の不条理劇のスパイ映画だった。

主人公以外の周り人物たちは皆怪しく、誰が敵側の工作員なのか全然検討が付かなかった。演じた俳優たちも一癖も二癖もあり
誰と誰が仲間なのか、そして誰が一番怪しかったのか終盤まで解けなかった。
東西冷戦下も描く中で、本作は心理戦を挑ませながらも最後まで謎が深まった作品だった。一味違ったスパイ映画ではあるけれど、自分としてはかなり好きな方だった。

本作は小道具や伏線の張り方が上手かった。それとこれは観ている人しか分からないけど、オカリナの音色と電話がトラウマになり、この2つの小道具の使い方が恐ろしい。

本作はハッピーエンドな映画ではないが、クルーゾー作品の中で隠れた名作に位置付けられるので、興味のある方は是非ご覧下さい。