フジツカ座

ミックマックのフジツカ座のレビュー・感想・評価

ミックマック(2009年製作の映画)
3.8
愛すべきブリキッシュムービー。セピアカラーの映像美はジャンピエールジュネの代名詞と言ってよいのではないでしょうか。

フランス映画は眠たくなるといつかのレビューに書いちゃったんですが、本作ミックマックはテンポよくリズミカルかつコミカルに物語が進み、サクサク楽しミカル的な作品だったなあと思います(滑ってなどいない(`∀´)

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本作の9割9分9厘が戦争やそれに纏わる兵器の存在に対して、ディスリスペクト的なメッセージを痛烈に込められた作品です。それをコミカルにリズミカルにかつシニカルに描いているので、それだけに恐ろしカルというか(あ、もういいですかね)ラストの虚無感というか、荒廃した空気感はけっこう恐ろしカルだったわけですよ。恨み合い歪みあった結果、相打ちでどちらも命を落とし、誰も喜ばない誰の為にもなっていないみたいな、そんな虚しさが漂うラストだったように個人的には思いました。(←かなり飛躍させてます。実際そんなシーンはまったくないです)

ただ、主人公のバジルがなぜ復讐に向かっていったのかを語った背景描写がとても少ない。9割9分9厘の残りの1厘です。作品のほんの5.6分。ダイジェストみたいな感じの箇条書きスタイルでした。
なので、いまいちバジルへの感情移入は捗りません。ちょっと俯瞰して観ちゃう感じがあったと思います。
けどひょっとしたらそこはあんまり重要じゃなくて、戦争が駄目だよ兵器を放棄しようなんてことは深く考えなくても判ることだし、敢えて距離感を保つことによってフラットに捉えやすくしたのかもなとも思いました。

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作品に出てくる数々の小物は玩具的な魅力が沢山あって心を擽られたし、バジルがプチパニックになったときに頭の中でクイズが始まって、それで心を落ち着かせるっていうくだりもクススでした。
あ、あと手話を激しくしたジェスチャーで意思疎通をするシーンもおもろかったです。コイントスでこのあとどうするかを決めるのとかも好きでした。


最後にバジル役のダニーブーンが渡辺忍にめちゃめちゃ似てて、顔だけじゃなく、仕草や佇まいも似てるのが個人的にツボでした。

(๑´ㅂ`๑)
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