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ダラスの熱い日のHKのレビュー・感想・評価

ダラスの熱い日(1973年製作の映画)
3.5
フィクションだとハッキリ謳っていますが、今となってはケネディ暗殺は実際こんな感じだったんでしょ?・・・と思える内容。
オリバー・ストーンのドキュメンタリー『JFK/新証言 知られざる陰謀』を見た後で、U-NEXTで見つけたのでついでに観ましたが、むしろこちらの方が説得力がありましたね。

本作は暗殺10年目の1973年に製作された作品で、昔(40年以上前)TVでもよくやってましたが、今回あらためて観ると思った以上に見覚えのあるシーンばかりでした。
尺は91分だし当時のTV洋画劇場枠でもほぼノーカットだったはず。
ランディ・エセルマンの不安を煽るテーマ曲もよく覚えています。
エセルマンはコメディ作品が多い印象ですが、本作が最初に担当した映画音楽とか。

黒人種差別撤廃、ベトナム撤退、CIAの縮小、ソ連との協調などケネディの唱える政策が面白くない各界の大物たちが集まって暗殺計画を立てる様子はいかにもありそうで、当時のニュース映像等を多用したドキュメンタリータッチの陰謀劇はフィクションとは思えない真実味があります。

脚本は『ローマの休日』『パピヨン』『ジョニーは戦場へ行った』のダルトン・トランボ。この3年後には亡くなっていますがこれが遺作?
主演の渋い二人バート・ランカスター(当時60歳)とロバート・ライアン(当時63歳)は本作では着々と暗殺計画をお膳立てする側ですが、さすがの貫録。
ターゲットを聞かされないまま練習を繰り返す狙撃チームのチーフには昔懐かし名脇役エド・ローターの顔も。

フィクションとはいえエンタメに徹するわけでもなく、地味に淡々と話が進み盛り上がりには欠けますが、それがかえってリアルに感じるという不思議。
ラストにはなんとも言えない不気味な余韻が・・・

原題は“Executive Action” (大統領による指令や命令の総称だそうです)
ちなみに邦題の『ダラスの熱い日』のせいで、私は暗殺されたのが真夏だとしばらく勘違いしていました(実際は1963年11月22日の正午過ぎ)が、“暑い”じゃなくて“熱い”なんですね・・・・・・何が熱いんでしょ?
ちなみに『JFK』も公開時に観てますが、全くと言っていいほど記憶に残ってません。
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