うめまつ

続・男はつらいよのうめまつのレビュー・感想・評価

続・男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.0
もう既に寅さんではなく寅ちゃん!と呼びたくなっている。すっかりころりん夢中なんである。これぞ日本一の愛され風来坊。ベージュのワントーンコーデに効かせたアイスブルーのシャツが眩しいよ。

あのツヤツヤした焼きたてのパンみたいなお顔を見ていると、嬉しくて楽しくて同時に何処か寂しくなる。その幸せが詰まった笑顔の裏に焦げ付いた孤独を感じる。夜汽車に揺られながらふるさとの夢を見る寅さん。さくらに似た娘さんを見つけては振り返る寅さん。タバコ屋の赤電話を横目に通り過ぎる寅さん。(全部私の妄想です) 実家にひと時帰ってくる以外ずっと1人で旅をしている姿を思うと、羨ましいような切ないような気持ちになる。

そんな私のセンチメンタルはさて置き、寅さんは今回も八面六臂の大活躍。顔を出した先々で賑やかしたり荒らしたりてんやわんやしながらも、二作目にして実のお母さんに会いに行ってしまう(!)。大事なネタを使うのが早い!と思ったけど、今作の時点では48作続くなんて誰も想像していなかったんだろう。お約束の障子すってんころりんとか、鰻持って満面の笑みで土手を走るとことか、陰口(と言うか憐れみ?)聴きながら打ちひしがる横顔とか、いちいち全部が最高のパフォーマンスで一瞬も目が離せない。あと《さながらインテリ》の若かりし山崎努のアクが強くてびっくりした。平たい顔族の中、1人だけ顔の陰影が濃過ぎて浮いてる。
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