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黄金の犬のHKのレビュー・感想・評価

黄金の犬(1979年製作の映画)
3.3
島田陽子の訃報を受けて、昔TVで観た微かな記憶の本作をひとり追悼鑑賞。
享年69歳、現在の日本女性の平均寿命より20年近く早い計算です。
癌だったそうですが抗がん剤による治療はしていなかったとか。
最初の出会いはやはりTVの『仮面ライダー』や『われら青春!』でしょうか。
最近まで仕事はしていたそうですが、私の記憶では山田太一脚本のTVドラマ『丘の上の向日葵』(1993)あたりで止まっています。それももう30年近くも前とは・・・

本作は徳間書店創立25周年の記念大作でキャストも豪華。
原作はハードボイルド(ハードロマン?)作家、西村寿行のベストセラー。
北海道で飼い主とはぐれて帰巣本能により東京を目指す猟犬ゴローを縦軸に、国家レベルの汚職事件、証拠を握る男、ヤクザと殺し屋、それを追う刑事、ゴローを探す飼い主らが複雑に絡み合い、主要人物と思われたキャラがコロコロと死ぬ油断ならない展開。
しかし製作費をそこそこかけながらもTVの2時間ドラマ程度のクオリティなのは残念。
全編ほとんど鳴りっぱなしの大野雄二のチープな音楽はほとんどルパン三世。

主役はワンコのゴローですが、人間の主役は刑事の鶴田浩二(当時54歳)。
バディが若手刑事の森田健作(当時29歳)というと『砂の器』を思い出しますが、むしろこのコンビは山田太一のNHKドラマ『男たちの旅路』か。

島田陽子は映画が始まって40分以上経ってようやく登場。
若く美しいながらも当時のスターの例に漏れず、とても26歳とは思えない落ち着きぶり
でもセクシーシーン(?)で一瞬ニプレスが見えたのと、ゴローの飼い主のはずなのにゴローに好かれているように見えなかったのは残念。

その鶴田と島田を襲う極悪な殺し屋には当時大抜擢だったであろう地井武男(当時37歳)。
そして一番の儲け役が逃亡中にゴローと一緒に放浪する夏木勲(後の夏八木勲、当時40歳)。
常に夏木の顔を見上げながら寄り添い歩くゴローの図にホッコリさせられます。

とってつけたように登場するトラック野郎役の菅原文太と薄命美女の三田佳子は特別出演。
バーのホステスにアンヌ隊員ことひし美ゆり子発見。
田中小実昌や白井佳夫も確認しましたが、昔、双葉十三郎が映画評論家が映画に出ることに苦言を呈していたのを思い出しました(自分が出ると酷評できない?)。
苦言と言えば、ゴローVS熊・アザラシ・シェパード軍団などの生々しい格闘描写は、今なら動物愛護団体からのクレームは必至でしょう。
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