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夏の遊びのkazu1961のレビュー・感想・評価

夏の遊び(1951年製作の映画)
3.8
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-128 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋ジャン=リュック・ゴダールが最も美しい映画と評したベルイマン初期の傑作です。ベルイマン自身が学生時代に書いた小説「マリー」を自身で脚色、あるプリマ・バレリーナの過去の苦い恋物語が描かれます。フラッシュバックが多用され、日記を下に回想する主人公の女性マリーが、現在と過去を行き来しながら最後に未来の答えを見つけ出す、そんな物語。モノクロながらキャメラに瑞々しく捉えられた北欧の夏がほんとに美しく、さらにバレエのシーンも美しい。ベルイマンの美しい映像はこの時期からもう十分に堪能できます。

🖋レコードジャケットの落書きが動き出すほどの恋の喜び、見事に“生”を感じられるシーンです。この美しい時代の“生”とヘンリックを亡くしてからの暗い“生”、そしてヘンリックや乳癌を患った叔母が醸し出す“死”の対極のイメージを操りながら巧く“生”と“死”の苦悩を描いています。

🖋そして、全ての“生”と“死”を肯定して今の自分を前向きに生きることを選んだラストシーン、爪先立ちになってキスを求めるシーンはとても象徴的でほんと素晴らしいシーンですね!!

😌Story:(参考: allcinema )
公演の後、楽屋でぼんやりするバレリーナ、マリーに小包で手帳型の日記が届けられた。それを開いた彼女は、思い出に引きずられるように、毎夏を過ごした伯母の別荘の自分専用の小屋を訪れる。そして、初恋の人ヘンリックとの出会いと、“毎日が金の糸に連なった真珠のような輝き”のひと夏を思い起こす。13年前のことだ。自分が死ぬなどということは考えられず、彼女に関心を持つ伯母の友人エルランドを“おじさん”とはねつけていた頃、ヘンリックとの海辺での抱擁は永遠にも思われていたのに、彼は、彼女にいい所を見せようと崖から海に飛び込んで全身打撲で危篤状態に陥り、彼女とエルランドに看取られて死ぬ。と、すかさず、彼の日記をポケットにしまい込んだエルランドは、マリーを抱き締め求愛するのだった。そして、再び現在。母屋を覗くマリーはそこで待つエルランドに会う。短い会話で、彼と彼女の仲がはかないものに終わったことが観客には判る。彼は復縁を望み、日記を送って呼び寄せたのだが、マリーはそれを拒み、劇場へ帰る。また楽屋の鏡を前にぽつねんと座る彼女がいる。同僚が化粧を落とすのが怖いのかと冷やかし、舞台監督がコッペリアの扮装で現れ、彼女の踊り子としての衰えを容赦なく指摘した上で励ます。そこへ、現在付き合っている新聞記者が現れ、彼と口論しながらも彼女は、自分を理解してくれ、とヘンリックの日記を渡す。晴れ晴れした気持ちで化粧をぬぐった彼女。そして、翌日の出番の前、舞台袖に現れた記者は無言で彼女を抱く。キスするためつま先立ちした彼女はそのまま舞台に出ていく……。

🔸Database🔸
・邦題 :『夏の遊び』
・原題 :『Sommarlek』
・製作国 : スウェーデン
・初公開 : 1951
・日本公開 : 1992/09/26
・上映時間 : 90分
・受賞 : ※※※
・監督 : イングマール・ベルイマン
・脚本 : イングマール・ベルイマン、ヘルヴェット・グレヴェーニウス
・原作 : ※※※
・撮影 : グンナール・フィッシェル
・音楽 : エリック・ノードグレーン
・出演 : マイ・ブリット・ニルソン、ビルイェル・マルムステーン、アリフ・シェリーン

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
スウェーデンが世界に誇る映画作家イングマール・ベルイマンの初期の傑作。ベルイマンが小学生の時に書いたという小説「マリー」を、自ら脚色。後の名作「野いちご」(1957)を彷彿とさせるフラッシュバックを使用し、あるプリマ・バレリーナの過去の苦い恋を描いた。新聞記者ダビッドと結婚するか、バレリーナとして仕事を続けるかの選択に悩むマリーのもとに古い日記が届き、それを読んだマリーは少女時代を過ごした思い出の地を訪れる。当時、バレエ教室の生徒だったマリーは、ヘンリックという学生と出会い、恋をするが……。「ベルイマンの黄金期 ’50-‘60年代 6本の傑作」(2014年7月26日~8月8日)にてデジタルマスター版で上映。2018年の「ベルイマン生誕100年映画祭」(18年7月~、YEBISU GARDEN CINEMAほか)でリバイバル上映。
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