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ビフォア・ザ・レインのkazu1961のレビュー・感想・評価

ビフォア・ザ・レイン(1994年製作の映画)
4.3
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2021-633 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋めちゃくちゃ完成度の高い作品ですね。映像、音楽、脚本のどれをとっても一級品。これがミルチョ・マンチェフスキーの監督デビュー作品衝撃的です!!

🖋物語は3話構成で語られれます。マケドニアの修道院での沈黙を守る若い僧・キリルと少女の物語“言葉”。ロンドンを舞台に写真エージェントで働く女性編集者・アンとカメラマンで愛人のアレックスとの愛の模様を描く“顔”。そしてアレックスを主人公に、名声も仕事も捨てて故郷マケドニアに戻った彼がかつて好きだった女性と出会う“写真”、この3話構成のオムニバスが1話→2話→3話→そして1話と循環される無限ループになっている構成が本当にお見事!!(2話の“顔”で1話の悲劇を撮影した写真が登場するのがミソ。これで無限ループが完成ですね!!)

🖋そしてこの循環的な物語の中で、絶えることなく繰り返される戦争の悲劇を静かに、しかし痛烈に描いているのも素晴らしい。。。94年ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞した人間ドラマに納得です。

🖋そして何と言っても1話、2話の舞台となる監督のミルチョ・マンチェフスキの母国マケドニアの美しさ。枯れているのに美しく、大地や煉瓦色のカラーがとても素晴らしい。歴史に取り残されたかの様に佇む修道院など、ほんと素晴らしき風土描写です。さらにマケドニア出身のアナスタシアというグループによるオリエンタルなスコアがこれまた素晴らしい!!この映像と音楽のハーモニーがほんと絶妙です。

🖋卓越した映像センスとループを構成する確かな演出力、繊細な心理描写で、人間の愛情、哀しさ、そして“業”を感じさせる人間ドラマの秀作です!!

😢Story:(参考:Amazon )
■第一部「言葉」
マケドニアの美しい山岳地帯。歴史に取り残されたかのように佇む修道院で、沈黙の修行を守る若い僧キリル(グレゴワール・コラン)とマケドニア人戦闘部隊に追われ
この修道院に逃げ込んだ敵対民族アルバニア人少女ザミラ(ラビナ・ミテフスカ)の恋。民俗も宗教も言葉も異なる二人の恋の行方は悲劇を予感させる。
■第二部「顔」
ロンドンの出版社で働く女性編集者アン(カトリン・カートリッジ)の気持ちは、マケドニア出身の世界的戦場キャメラマンで愛人のアレックス(レード・セルベッジア)と、 愛してはいるが退屈な夫との間で揺れている。夫の子どもを妊娠しているアンだが、愛人からの一緒に故郷マケドニアに帰ろうとの誘いに悩んだ末、夫に離婚を切り出す。そこで凄惨な事件が起こる…
■第三部「写真」
マケドニア出身の世界的戦場キャメラマンのアレックスは、ロンドンでの生活も地位も名誉も捨てて故郷の村へと帰るが、そこは民族紛争で荒れ果て、人々は銃で武装していた。ある日アレックスの従弟が
アルバニア人に殺される。殺したのはアレックスの初恋のアルバニア人女性の娘ザミラだった。復讐の火蓋が切って落とされる中、彼の取った行動は…

🔸Database🔸
・邦題 :『ビフォア・ザ・レイン』
・原題 :『Before the Rain』
・製作国 : イギリス・フランス・マケドニア
・初公開 : 1996
・日本公開 : 1996/02/03
・上映時間 : 115分
・受賞 : 1994年ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞
・監督 : ミルチョ・マンチェフスキ
・脚本 : ミルチョ・マンチェフスキ
・原作 : ※※※
・撮影 : マヌエル・テラン
・音楽 : アナスタシア
・出演 : グレゴワール・コラン、ラビナ・ミテフスカ、カトリン・カートリッジジ、ラデ・シェルベッジア、ジェイ・ヴィラーズ

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
マケドニアを舞台に、ギリシャ正教徒とアルバニア系ムスリム人住民のあいだで高まる緊張を、マケドニアとロンドンを結び、時間軸が複雑に交錯する三つの挿話で描きだすドラマ。監督・脚本のミルチョ・マンチェフスキーはマケドニア出身で、ニューヨークを拠点にミュージック・ビデオやCMを手掛け、これが初の劇場用長編映画になる。製作はジュディ・コウニハン、チェドミール・コラール、サム・テイラー。撮影は「野性の夜に」のマニュエル・テラン、音楽はエスニック音楽グループのアナスタシア。出演は旧ユーゴ出身の国際的名優レード・セルベッジア、「オリヴィエ・オリヴィエ」のグレゴワール・コラン、「ネイキッド」のカトリン・カートリッジ、ほか。94年ヴェネチア映画祭金獅子賞(グランプリ)受賞。96年度キネマ旬報外国映画ベストテン弟9位。
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