ハル

蜘蛛巣城のハルのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
3.9
「黒澤の野郎! あいつの家にバズーカぶっ放してやるからな!」

さすがの三船敏郎も、黒澤監督の無茶苦茶な演出には烈火の如く怒った。

恐怖の表情を引き出すためとは言え、あれだけの矢を放たれては、生きている心地がしなかったろう。しかも、射手は、プロではなく学生さんだったのだから、その恐怖は推して知るべしである。

今だったら確実にコンプライアンス違反だが、黒澤さんに法治国家の杓子定規な常識は通用しない。映画を作ることに対して一切の妥協を許さなかったからこそ、彼は伝説であり続けたのだ。 

この作品は彼の生んだ伝説の一つである。

妖しくも美しい美の世界は、半世紀以上を経た今も、人々を魅了してやまない。
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