ハル

サムライのハルのネタバレレビュー・内容・結末

サムライ(1967年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

孤独な殺し屋の矜持を描いたフレンチフィルムノワールの傑作。

モノトーンの配色も手伝って、全体的に冷たくて乾いた印象がある。淡々としているが、警察と依頼主の双方から追い詰められる、スリリングな展開には、生つばを飲む。話が進むにつれて、主人公の孤独感と胸に秘めたる矜持が浮き彫りになっていくのが良かった。

かごの鳥を小道具として使ったのは素晴らしい。あれが主人公の置かれた状況や心理を表していることは言うまでもない。鳥と一瞬だけ目が合うところが自分的には一番良かった。

最後のシーンは圧巻である。

孤独な暗殺者は、自分をかばってくれたピアノ弾きの女に会いに行く。拳銃を取り出し、女を殺そうとしたところで、四方を張っていた刑事たちに射殺される。しかし、彼の拳銃には弾が入っていなかった。恐らく、彼は、警察にわざと殺されることによって、彼女を守ったのではないだろうか。それが彼なりの矜持(プライド)だったのかもしれない。
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